ジョージフ・フレンチ警部
(Inspector Joseph French)

　イギリス本格黄金時代の代表的作家Ｆ・Ｗ・クロフツが創造した警察官探偵。所属はイギリス・スコットランド・ヤード犯罪捜査部で、初登場時には警部でしたが、作品の発表とともに徐々に昇進してゆき、最後の作品「関税品はありませんか？」では主任警視にまで昇進しています。

　その風貌は背はあまり高くありませんががっしりとした体格で、青く鋭い目の持ち主ですが、とても人当たりがよく優しい性格で、同僚刑事からは〈人当たりの良いジョー〉と呼ばれて親しまれています。

　また旅行好きでそのような彼を知ってか、彼の上司はしばしば地方で起こった難事件にフレンチを派遣しますが、フレンチ警部はそこでも持ち前の人当たりの良さですぐに地元の警察官とも打ち解けて上手くやっていくことができます。

　彼の捜査方法はとにかく足を使って現場を駆けずり回り、何度も困難にぶつかりながらも根気強く捜査・証拠収集にあたるというやり方ですが、その甲斐もあってかいつも最後には事件を解決することができます。

　家族には妻のエミリーと老犬ミリアムがいて、作品中では妻のエミリーと事件について話合っているうちに彼女の助言で事件の核心をつかんだこともありました。
　その他には彼の部下として登場するカーター部長刑事が作品中ではよくフレンチ警部の捜査を助けています。

　凡人型で超人探偵のような華々しい活躍はないのですが、困難にぶつかっても粘り強くあきらめないで事件に立ち向っていく真摯な姿を見ると、つい応援したくなってしまう、そんな魅力ある探偵の一人です。