私立探偵 リュウ・アーチャー
(Lew Archer)

　ダシール・ハメット、レイモンド・チャンドラーと並ぶハードボイルド御三家の一人、アメリカの推理小説家ロス・マクドナルドが生み出した、ロサンゼルスの私立探偵。

　初登場作品は著者がまだケネス・ミラー名義だった頃に書かれたという短編「女を探せ」（1946）で、その後1949年に発表された第１長編「動く標的」からは主に長編で活躍。名作として名高い「さむけ」やゴールド・ダガー賞を受賞した「ドルの向こう側」など、「ウィーチャリー家の女」以降の後期作品が特に高い評価を得ており傑作揃いです。

　ちなみにこのキャラクターの名前の由来は、”アーチャー”がハードボイルドの始祖ダシール・ハメットの「マルタの鷹」に登場する私立探偵サム・スペードの相棒マイルズ・アーチャーからで、”リュウ”はの方はアカデミー賞史上最多の11部門受賞を果たした名作映画「ベン・ハー」（1959）の原作者リュウ・ウォレスだと言われています。

　その風貌は身長188センチ、体重86キロ、青い瞳に黒い髪、顔は細長く「コヨーテが笑ったような、痩せて飢えている顔つき」と自称しています。

　カリフォルニア州ロングビーチに生まれ、オークランドの小学校をを卒業した後郷里に帰りしばらくは荒れた時期もありましたが、その後警察学校を卒業し警察に勤務、２年ほど地方検事グレイブスの下で働きます。

　ところが警察の腐敗ぶりに嫌気が差してほどなく退職。第二次世界大戦に出征して情報部に勤務した後、戦後はハリウッドのサンセット・ブルーヴァードに事務所を開設して私立探偵を開業しました。

　荒れていた少年時代や彼の元を去っていった妻スーのことが今の彼の心に深い傷となっており、そのためうわべは幸せそうな家庭内で悲劇的に起きる哀しく暗い事件に冷徹な目で取り組み事件を解決していく孤高のヒーローです。