黄金時代を彷彿とさせる作風の女流本格作家

USA エリザベス・ジョージ
(Elizabeth George)

大いなる救い
「大いなる救い」
(1988年)
(早川書房)

 アメリカの女流ミステリー作家。オハイオ州に生まれカリフォルニア大学で英文学を専攻し、カウンセリング修士号を取得して卒業。卒業後は高校や大学で教鞭を執るかたわら創作活動も行っていました。

 そして1988年に長編「大いなる救い」でミステリー作家としてデビューを果たしたのですが、この作品がいきなりアンソニー賞とアガサ賞、そしてフランス警察小説大賞という三つの賞を獲得するという幸運にも恵まれ、処女作にして一躍人気作家の仲間入りを果たしたのです。

 それ以後もこのデビュー作品で登場したスコットランド・ヤードのトマス・リンリー警部を主人公とする作品を数多く発表して人気を集めています。

 彼女自身はアメリカ人ですがその作風は伝統的な英国ミステリーの流れを汲んでおり、また舞台もイギリスという設定になっていますが、これは若い頃シェイクスピアをきっかけに英文学に目覚め、それ以来とにかくイギリスの事物に惹かれるようになったことが起因しているのだそうです。

名門校 殺人のルール
「名門校 殺人のルール」
(1990年)
(新潮社)

 エリザベス・ジョージの作品は犯罪の動機など、登場人物の心理状態の描写に優れていて、同じく人物描写に優れた黄金時代の女流作家であるドロシー・L・セイヤーズの再来とも言われているそうです。

 この点については事実彼女はセイヤーズにはかなり影響を受けていたらしく、彼女の作品で主人公を務めるリンリー警部は第8代アシャートン伯爵という由緒正しき貴族の身分を持ちイートン校からオックスフォードに進んだエリートで、この辺りはセイヤーズの探偵役のピーター・ウィムジイ卿を髣髴させるものがあります。

 また警察の捜査活動という謎解き以外に、登場人物たちの友情や恋愛模様も描かれている所も、セイヤーズ女史にどこか似ている所があると思います。


■作家ファイル■

出身地
アメリカ、オハイオ州ウォレン
学歴
カリフォルニア大学リヴァーサイド校卒
生没
1949年2月26日~
作家としての経歴
1988
トマス・リンリー警部を主人公とする処女長編「大いなる救い」でいきなりアンソニー賞、アガサ賞、フランス推理小説大賞を受賞
シリーズ探偵
トマス・リンリー警部 (Inspector Thomas Lynley)
代表作
「大いなる救い」

■関連リンク■

1 エリザベス・ジョージ公式サイト


■著作リスト■

1 トマス・リンリー警部登場作品リスト

2 その他の作品

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 I, Richard 2002 -

【編書】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Crime from the Mind of a Woman 2002 -
2 A Moment on the Edge: 100 Years of Crime Stories by Women 2004 -
3 Two of the Deadliest 2009 -

【評論・エッセイその他】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Write Away 2004 - ノンフィクション

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