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空前のトリックで人気を集める鬼才

FRA セバスチアン・ジャプリゾ
(Sèbastien Japrisot)

シンデレラの罠
「シンデレラの罠」
(1962年)
(東京創元社)
 フランスの作家、脚本家、翻訳家。小説だけでなく数多くの映画作品にも携わり、オリジナルも含めて映画脚本も数作品手掛けています。

 フランスのマルセイユに生まれ、生まれ故郷のイエズス会系の学校に通っていた16歳の時に書いた純文学作品「不幸な出発」で18歳にして作家デビュー。
 少年と年上の尼僧との禁断の恋が描かれたこの作品は、タイム誌から”10代のフロベール”と称賛され、1975年には「続・個人教授」のタイトルで映画化もされるなど大変な好評を博しました。

 その後しばらくは広告代理店に勤務し、J・D・サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」やJ・T・ストーリーの「ハリーの災難」の翻訳を手掛けるなど翻訳家として活躍。

 ところが1962年に経済的事情から推理小説家に転身することとなり、借金の支払のために2つのミステリ長編をわずか1ヵ月で書き上げたことがきっかけで、その才能が一気に開花します。

 その2つの長編のうち、まずデビュー作となった「寝台車の殺人者」は、ボアロー&ナルスジャックの一人でフランスミステリ界の巨匠のピエール・ボアローから”輝かしきデビュー作”と称賛されました。

 次いでその5か月後に第2長編「シンデレラの罠」を刊行しますが、一人四役という前代未聞のプロットで当初から注目を集め、発売の48時間後にはラ・ソシエテ・ゴーモン社により映画化権が買い取られ、日本を皮切りにたちまち13カ国で版権が売られるほどの爆発的な反響を巻き起こします。
 そしてフランス推理小説大賞も受賞するなど、この「シンデレラの罠」によりジャプリゾは名実ともにミステリ史にその名を刻み込んだのでした。

 この2つの作品で人気作家としての地位を不動のものとしたジャプリゾですが、その後も作品数は決して多くはないものの新作の発表の度に話題を集め、その作品のほとんどが映画化されています。
 また本国フランスだけでなく日本をはじめ国外でも大変な人気を集めています。
ウサギは野を駆ける
「ウサギは野を駆ける」
(1972年)
(早川書房)

■作家ファイル■

本名 ジャン=バティスト・ロッシ (Jean-Baptiste Rossi)
ペンネームは本名のアナグラム(1961年に収税吏と喧嘩し、申告書に本名の代わりに書いたのが始まりだと言われている)
出身地 フランス、マルセイユ
生没 1931年〜2003年3月(71歳)
作家としての経歴
1950 18歳の時に本名で発表した「不幸な出発」で作家デビュー
1962 借金の支払いに迫られ1月から2月にかけてわずか1ヵ月の間に「寝台車の殺人者」と「シンデレラの罠」の2長編を書き上げ、パリのドノエル社のクライム・クラブ双書の一冊として刊行。後にともに映画化されるなど大好評を博す。
「シンデレラの罠」でフランス推理小説大賞を受賞
1977 長編「殺意の夏」でドゥー・マゴ賞を受賞
1991 長編「長い日曜日」でアンテラリエ賞を受賞
シリーズ探偵  
代表作 「シンデレラの罠」「ウサギは野を駆ける」
「長い日曜日」

■著作リスト■

1 セバスチアン・ジャプリゾ名義の長編

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
寝台車の殺人者 1962 創元文庫142-2 映画化('65)
シンデレラの罠 創元文庫142-1 フランス推理小説大賞
映画化('65)
新車の中の女 1966 創元文庫142-3 「殺意の週末」のタイトルで映画化('71)
殺意の夏 1977 創元文庫142-4 ドゥー・マゴ賞
映画化('83)
La passion de femmes 1986 -  
長い日曜日 1991 創元文庫142-5
東京創元社 海外文学セレクション('94)
アンテラリエ賞
「ロング・エンゲージメント」のタイトルで映画化('04)
Là-haut les tambours   - 未完

2 ジャン=バティスト・ロッシ名義の長編

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
不幸な出発 1950 六興出版社('52) 邦訳はジャン・ロッシイ名義
「続・個人教授」のタイトルで映画化、ユナニミテ賞
Visages de l'amour et de la haine 1951 -  
L'Odysexe 1965 -  

3 映画脚本

【オリジナル】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
Adieu l'ami
さらば友よ
1968 HPB1074 アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンの共演映画のために書き下ろされた作品
Le Passager de la pluie
(雨の訪問者)
1970 -  
ウサギは野を駆ける 1972 HPB1215
早川書房 世界ミステリ全集15('73)
「狼は天使の匂い」のタイトルで映画化

【自作の脚色】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
Piège pour Cendrillon
シンデレラの罠
1965 -  
Les mal partis
不幸な出発
(続・個人教授)
1975 -  
L'été meurtrier
殺意の夏
1983 -  

【他作家作品の脚色】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
O嬢の物語 1975 - ポリーヌ・レアージュ原作
Folle a tuer
(狼が来た、城へ逃げろ)
- ジャン・パトリック・マンシェット原作
Les Enfants du marais
クリクリのいた夏
1999 - ジョルジュ・モンフォレ原作「沼地の子供たち」

【参考】「長い日曜日」(東京創元社 創元推理文庫)
 


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