時代設定を巧みに生かした歴史本格ミステリを発表

UK アン・ペリー
(Anne Perry)

十六歳の闇
「十六歳の闇」
(1984年)
(集英社)

 ヴィクトリア朝時代を舞台にしたミステリー・シリーズで有名なイギリスの女流推理小説家。トーマス・ピット警部とその妻シャーロットが活躍するシリーズと、事故によって記憶を失くしたウィリアム・モンク警部の活躍するシリーズの二つの歴史ミステリーのシリーズを手がけ、本国イギリスは勿論のこと、アメリカでも人気を博していて、両シリーズを合わせて合計20冊、全部で300万部以上売れたというベストセラー作家です。

 ロンドンに生まれ後にニュージーランドに移住、15歳の時そこで殺人事件に関わります(この事件は映画化され、日本でも「乙女の祈り」で公開)が、服役後はイギリスに戻り、様々な職を転々とした後、やがて歴史小説を書き始めます。

 しかし歴史小説の分野ではなかなか芽が出ず、やがて推理小説の世界に転身。1979年にトーマス・ピット警部を主人公とする長編「カーター街の首吊り人」でミステリー作家としてデビューしてからようやく作家として認められるようになりました。

 その後は1992年にはモンク警部ものの第3作「防御と裏切り」を発表してアメリカン・ミステリー賞の最優秀伝統ミステリー賞を受賞するなど、順調に作品を発表し続けています。

見知らぬ顔
「見知らぬ顔」
(1990年)
(東京創元社)

 また2000年には短編「英雄たち」でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞の最優秀短編賞も受賞し、一方でシャーロック・ホームズのパスティーシュも数多く発表するなど、短編ミステリの分野でもその才能を如何なく発揮しています。

 19世紀のイギリスを舞台に当時の風俗をリアルに描き、その中に本格ミステリの要素を巧みに取り入れた重厚な作りで、読者を楽しませてくれます。


■作家ファイル■

出身地
イギリス、ロンドン
後ニュージーランドに移住(1959年にイングランドに戻る)
生没
1938年10月28日〜
作家としての経歴
1979
トーマス・ピット警部シリーズ第1作「The Cater Street Hangman(カーター街の首吊り人)」でミステリー作家としてデビューを果たす
1990
ウィリアム・モンク警部シリーズ第1作「見知らぬ顔」でアガサ賞の最優秀長編賞にノミネートされる
1992
モンク警部シリーズ第3作「Defend and Betray(防御と裏切り)」でアメリカン・ミステリー賞の最優秀伝統ミステリー賞を受賞
2000
短編「英雄たち」でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞の最優秀短編賞を受賞
シリーズ探偵
トーマス・ピット警部 (Thomas Pitt)とその妻シャーロット(1880年〜90年代が舞台)
ウィリアム・モンク警部 (William Monk)(1850年代が舞台)
代表作
「見知らぬ顔」「防御と裏切り」(モンク警部)
「英雄たち」(短編)

■著作リスト■

1 トマス・ピット警部登場作品リスト

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
The Cater Street Hangman
(カーター街の首吊り人)
1979 - アン・ペリーのミステリ・デビュー作
Callander Square 1980 -
Paragon Walk 1981 -
Resurrection Row -
Rutland Place 1983 -
十六歳の闇 1984 集英社文庫('04)
Death in the Devil´s Acre 1985 -
Cardington Crescent 1987 -
Silence in Hanover Close 1989 -
10 Bethlehem Road 1990 -
11 Highgate Rise 1991 -
12 Belgrave Square 1992 -
13 Farrier's Lane 1993 -
14 The Hyde Park Headsman 1994 -
15 Traitor's Gate 1995 -
16 娼婦殺し 1996 集英社文庫('99)
17 Ashworth Hall 1997 -
18 Brunswick Gardens 1998 -
19 Bedford Square 1999 -
20 Half Moon Street 2000 -
21 The Whitechapel Conspiracy 2001 -
22 Southampton Row 2002 -
23 Seven Dials 2003 -
24 Long Spoon Lane 2005 -
25 Buckingham Palace Gardens 2008 -
26 Treason at Lisson Grove 2011 -
27 Dorchester Terrace 2012 -

2 ウィリアム・モンク警部登場作品リスト

3 The World War I シリーズ

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
No Graves As Yet 2003 -
Shoulder the Sky 2004 -
Angels in the Gloom 2005 -
At Some Disputed Barricade 2006 -
We Shall Not Sleep 2007 -

4 The Christmas Stories

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
A Christmas Journey 2003 -
A Christmas Visitor 2004 -
The Christmas Guest 2005 -
A Christmas Secret 2006 -
A Christmas Beginning 2007 -
A Christmas Grace 2008 -
A Christmas Promise 2009 -
A Christmas Odyssey 2010 -
A Christmas Homecoming 2011 -

5 Fantasy

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
Tathea 1999 -
Come Armageddon 2001 -

6 Timepieceシリーズ(児童書)

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
Tudor Rose 2011 -
Rose of No Man's Land -
Blood Red Rose 2012 -

7 その他の主な作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
Fashionable Funeral 1992 -
Heroes (Most Wanted) 2007 -
The Sheen on the Silk 2010 -

【中編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
フランス革命夜話 1999 ソニーマガジンズ ヴィレッジブックス('02) 18世紀のパリが舞台
99年カセットブック01年小説化
The One Thing More 2000 - 1の続編

【リレー長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
Naked Came the Phoenix
裸のフェニックス
2001 ソニー・マガジンズ ヴィレッジブックス('02) マーシャ・タリー編
I'd Kill for That 2004 -

【邦訳短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
ディグビィ、最初の事件
(ミス・ディグビー最初の事件)
1988 HMM'90.4
扶桑社ミステリー「ウーマン・オブ・ミステリー」('92)
脱獄 1996 EQ'96.7(112)
ゆすり屋
(ゆすり)
早川文庫218-1「愛の殺人」('97)
HMM'96.7
英雄たち 1998 早川文庫356-1「エドガー賞全集 [1990〜2007]」('08)
早川文庫「殺さずにはいられない2」('02)
HMM'00.11
MWA賞短編賞('00)
Daisy and the Archaeologists
デイジーと考古学者たち
HMM'04.5
The Case of the Santo Nino
サント・ニーニョ事件
HMM'05.1
Hostages
人質
2005 創元推理文庫169-6「十の罪業 Black」('09)

【シャーロック・ホームズのパスティーシュ】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
イヴの鐘 1996 原書房「シャーロック・ホームズ クリスマスの依頼人」('98)
クリスマスの贈り物 1999 原書房「シャーロック・ホームズ 四人目の賢者」('99)
真っ白な靴下 2001 原書房「シャーロック・ホームズ ベイカー街の殺人」('02)
ハイランドの虚報事件 2002 原書房「シャーロック・ホームズ ワトスンの災厄」('03) マラカイ・サクソンとの合作

【編書】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
Death By Horoscope
ホロスコープは死を招く
2001 ソニー・マガジンズ ヴィレッジブックス('06) マーティン・H・グリーンバーグとの共編
アンソロジー
Much Ado about Murder 2002 -
Death by Dickens 2004 -
Thou Shalt Not Kill 2005 -

【ノンフィクション】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
Letters from The Highlands 2004 -

【エッセイ・評論その他】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
シャーロット&トーマス・ピット 2009 早川書房「ヒーローの作り方─ミステリ作家21人が明かす人気キャラクター誕生秘話」('10) オットー・ペンズラー編

【参考】「見知らぬ顔」(東京創元社 創元推理文庫)
「十六歳の闇」(集英社 集英社文庫)
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