UK イーデン・フィルポッツ
(Eden Phillpotts)
〔別名 ハリントン・へクスト (Harington Hext)〕

赤毛のレドメイン家
「赤毛のレドメイン家」
(1922年)
(東京創元社)

 別名ハリントン・ヘクスト。イギリス本格黄金時代を代表する作家の一人です。

 当時イギリス領だったインド駐留の英国軍人の家に生まれ、17歳からの10年間、ロンドンの保険会社事務員に勤務しますが、その頃に創作を志し始めたといいます。

 その後週刊誌編集部員を経て30歳ごろから本格的に文筆活動を開始し、〈ダートムア小説〉とも総称される田園小説や歴史小説、そして劇作の分野で有名な作家となります。 そしてミステリー・推理小説の分野にも進出する訳ですが、この分野に感心を持ち始めたのは、なんと60歳にならんとしてからでした。

 もっとも作家としては全部で250もの著書を残していますが、そのうちミステリ作品はデビューも遅かったためか僅かに約20冊とごく一部にすぎません。

 しかし彼の一連の作品をあまり他人を褒めないことで有名なアメリカ本格黄金時代の巨匠の一人でもあったS・S・ヴァン・ダインは、自らの推理小説論(「ウィンター殺人事件」参照)の中で高く評価している点は特筆に値します。

 その他に有名なエピソードとして、1920年に処女作「スタイルズ荘の怪事件」を発表したミステリーの女王アガサ・クリスティーが、少女時代に彼から文学的助言と励ましを受けたというのは、ミステリー・ファンには有名な話です。

 また、日本でも江戸川乱歩が「赤毛のレドメイン家」をベスト10の1位に挙げて激賞するなど戦前から極めて高い人気を得ていて、邦訳の数も多く、古くから人気作家の一人として何度も紹介されています。

テンプラー家の惨劇
「テンプラー家の惨劇」
(1923年)
(国書刊行会)

■作家ファイル■

出身地
イギリス(父親の赴任先インド生まれでデグオン州プリマス育ち)
生没
1862年12月〜1960年12月29日(98歳)
作家としての経歴
1921
「灰色の部屋」で推理作家としてデビューする
1922
「赤毛のレドメイン家」を発表
その後ハリントン・ヘクスト名義も含め約20冊のミステリを発表
シリーズ探偵
ジョン・リングローズ (John Ringrose)
エイヴィス・ブライデン
代表作
【ジョン・リングローズ】
「闇からの声」
【ノンシリーズ】
「赤毛のレドメイン家」「テンプラー家の惨劇」
「誰が駒鳥を殺したか?」「怪物」
ランキング
EQアンケート43位

■著作リスト■

1 ジョン・リングローズ登場作品リスト

2 エイヴィス・ブライデン登場作品リスト

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
Bred in the Bone 1932 -
A Shadow Pusses 1933 -
Witch's Cauldron -

3 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
The End of a Life 1891 -
A Tiger's Cub 1892 -
The American Prisoner 1903 -
The Sinews of War
(米 Doubloons)
1906 - アーノルド・ベネットとの合作
The Statue 1908 -
A Flight to a Finish 1911 -
The Three Knaves 1912 -
The Master of Merripit 1914 -
Misers' Money 1920 -
10 灰色の部屋 1921 創元文庫111-3
11 赤毛のレドメイン家
(赤毛のレッドメーン)
(赤毛のレドメイン一家)
1922 創元文庫111-1
集英社文庫 乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10[1]
旺文社文庫('79)
講談社文庫('77)
角川文庫('63)
新潮文庫('58)
別冊宝石29('53)
東都書房 世界推理小説大系15('62)
東京創元社 世界推理小説全集11('56)
雄鶏社 雄鶏みすてりーず7('50)
乱歩ベスト10・1位
EQアンケート37位
12 ラベンダー・ドラゴン 1923 早川文庫 FT8 ファンシー小説
13 The Jury 1927 -
14 溺死人 1931 創元文庫111-4
15 A Clue from the Stars 1932 -
16 The Captain's Curio 1933 -
17 Mr. Digweed and Mr. Lumb -
18 The Wife of Elias 1935 -
19 医者よ自分を癒せ HPB294
別冊宝石29('53)
20 A Close Call 1936 -
21 狼男卿の秘密 1937 国書刊行会 ドラキュラ叢書7('76)
22 Portrait of a Scoundrel 1938 -
23 Monk Shood 1939 -
24 Awake Deborah! 1940 -
25 A Deed without a Name 1941 -
26 Ghost Water -
27 Flower of the Gods 1942 -
28 They Were Seven 1944 -
29 The Changeling -
30 The Drums of Dombali 1945 -
31 Quartet 1946 -
32 There Was an Old Woman 1947 -
33 Fall of the House of Heron 1948 -
34 Adress Unknown 1949 -
35 Dilemma -
36 George and Geogina 1952 -
37 The Hidden Hand -
38 His Brother's Keeper -
39 There Was an Old Man 1959 -

【ハリントン・へクスト名義の作品】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
No. 87 1921 -
テンプラー家の惨劇 1923 国書刊行会 世界探偵小説全集42('03)
誰が駒鳥を殺したか? 1924 創元文庫176('60)
別冊宝石87('59)
Who Killed Diana? -
怪物 HPB297
別冊宝石39('54)

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
My Adventure in the Flying Scotsman: A Romance of London and North Western Railway Shares
(フライング・スコッツマンの冒険)
1888 - クイーンの定員13
Down Dartmoor Way 1896 -
Loup-Garou! 1899 -
The Striking Hours 1901 -
Fancy Free -
The Transit of the Red Dragon and Other Tales 1903 -
Knock at a Venture 1905 -
The Unlucky Number 1906 -
The Folk Afield 1907 -
10 The Fun of the Fair 1909 -
11 Tales of the Tenements 1910 -
12 The Old Time Before Them 1913 -
13 The Judge's Chair 1914 -
14 The Chronicles of St. Tid 1917 -
15 Black, White and Brindled 1923 -
16 Up Hill, Down Dale 1925 -
17 Peacok House and Other Mysteries 1926 -
18 It Happend Like That 1927 -
19 The Fun of the Fair 1928 -
20 The Torch and Other Tales 1929 -
21 Cherry Gambol and other stories 1930 -
22 They Could Do No Other 1933 -
23 Once Upon a Time 1936 -
24 The Courting of Nicholas and other stories 1944 -
25 The End of Count Rollo and oter stories 1946 -

【邦訳短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
三死人
(バルバドス島事件)
1929 創元文庫100-4「世界短編傑作集4」('61)
東京創元社 世界推理小説全集51「世界短篇傑作集2」('57)
新青年'35.6
短編集15と17に収録
鉄のパイナップル 創元文庫110-10「探偵小説の世紀/上」('83) 短編集17に収録
The King of Kanga
カンガの王様
宝石'61.3 短編集17と25に収録
Peacock House
孔雀館
ヒッチコックマガジン'63.2 短編集17に収録
Peters, Detective
探偵ピーターズ
1954 HMM'04.6

【参考】「テンプラー家の惨劇」(国書刊行会 世界探偵小説全集)
「闇からの声」(東京創元社 創元推理文庫)
「溺死人」(東京創元社 創元推理文庫)