安楽椅子探偵の始祖

UK マシュー・フィリップス・シール
(Matthew Phipps Shiel)

プリンス・ザレスキーの事件簿
「プリンス・ザレスキーの事件簿」
(1895年、1945年)
(東京創元社)

 史上初の安楽椅子探偵といわれる〈プリンス・ザレスキー〉シリーズの生みの親として有名なイギリスの作家。

 シャーロック・ホームズが滝壺に姿を消した翌年、1895年に衝撃的なデビューしますが、わずか3つの短編を残したきり、その後ザレスキーものは書かれなくなってしまいます。

 そしてそれから50年以上が経った1945年、シールが80歳のときにエラリイ・クイーンが推理短編コンテストを実施するのを耳にして、再びザレスキーものの筆を執り、短編「プリンス・ザレスキー再び」を書き上げます。

 ところがその応募の途中でシールは高齢のためか意識を失い病院に担ぎ込まれ、回復したものの、その後原稿がどうなったか判らずじまいとなってしまいます。
それから2年経った1947年にシールは亡くなりますが、その紛失した原稿は数年経った1954年になって発見され、クイーンの手により発表に至るという劇的な運命を辿りました。

 他にも怪奇・スリラー小説も多数発表しており、そちらでも有名な作家です。


■作家ファイル■

出身地
イギリス(西インド諸島中のモントセラット島(アイルランド系)
学歴
ロンドン大学キングズ・カレッジなどで学ぶ
生没
1865年7月21日~1947年2月17日(81歳)
作家としての経歴
1895
ザレスキーものの第1短編集「プリンス・ザレスキー」でデビュー
1945
エラリイ・クイーンの短編コンテストの話を聞き、50年ぶりにザレスキーもの「プリンス・ザレスキー再び」を書き上げるが、応募の途中で意識を失い、原稿は行方不明に。その後47年に死去
1954
行方不明の原稿が発見され、クイーンの手により翌年発表されるに至る
シリーズ探偵
プリンス・ザレスキー (Prince Zaleski)
カミングス・キング・モンク (Cummings King Monk)
代表作
「オーヴンの一族」(短編)
「S・S」(短編)

■著作リスト■

1 プリンス・ザレスキー登場作品リスト

2 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Rajah's Sapphire 1896 -
2 The Yellow Danger 1898 -
3 The Weird O'It 1902 -
4 Un to the Third Generation 1903 -
5 The Evil That Men Do 1904 -
6 The Lost Viol 1905 -
7 The Late Tenant 1906 - ゴードン・ホームズ名義
ルイス・トレーシーとの合作(再版からトレーシー名義)
8 By Force of Circumstances 1909 -
9 How the Old Woman Got Home 1927 -
10 Dr. Krasinskis Secret 1929 -
11 The Black Box 1930 -
12 Say Au R'Voir But Not Goodbye 1933 -

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Pale Ape 1911 -
1 The Pale Ape
青白い猿
新人物往来社 怪奇幻想の文学5「怪物の時代」('77)
2 The House of Sound
音のする家
新人物往来社 怪奇幻想の文学4「恐怖の探究」('70)
3 The Bride
花嫁
国書刊行会「怪奇小説の世紀1」('92)
2 Here Comes the Lady 1928 -
1 The Tale of Henry & Rewana
ヘンリとロウィーナの物語
河出文庫「イギリス怪談集」('90)
3 The Best Short Stories of M. P. Shiel 1948 -
1 モンク、木霊を呼び醒す 創元推理文庫186-1「プリンス・ザレスキーの事件簿
2 Xelucha
ゼリューシャ
創元推理文庫「怪談の悦び」('92)
4 Xelucha and Others 1975 -
5 Prince Zaleski and Cummings King Monk 1977 -
1 モンク、『精霊の偉大さ』を定義す 創元推理文庫186-1「プリンス・ザレスキーの事件簿
2 モンク、女たちを騒がす カミングズ・キング・モンクもの
3 推理の一問題 ジョン・ゴーズワースとの合作

【参考】「プリンス・ザレスキーの事件簿」(東京創元社 創元推理文庫)
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