クレイグ・ケネディ教授
(Professor Craig Kennedy)

　アメリカの作家アーサー・Ｂ・リーヴの生み出した科学者探偵。このケネディ教授シリーズは〈コズモポリタン〉誌の1910年12月号に初掲載され、12編の収められた第１短編集「無音の弾丸」は1912年にドッド・ミード社より刊行されました。以後10を超える長編と12を超える短編集の計26冊が書かれたといわれています。

　ニューヨーク州ブルックリンに生まれ、ドイツへの留学経験を経て現在はコロンビア大学の理化学教授。
ワトスン役を務めるのは同居している彼の大学の後輩で新聞記者のウォルター・ジェイムソンで、物語はシャーロック・ホームズもののようにまず依頼人が彼らの部屋か大学の研究室に現われるところから始まり、捜査の後事件関係者を研究室に集めて、ケネディが謎を解き明かすというのがパターンとなっています。

　そして一番の注目は当時としては最新だった科学的捜査方法、例えばディクタフォン（録音機）や、Ｘ線、血液採取、文字鑑定、盗聴装置やうそ発見器などの科学的発明を捜査や推理の手段に導入した点で、その意味からケネディ教授シリーズはアメリカで最初の科学的探偵小説という地位を占めています。

　このケネディ教授のシリーズは今では半ば忘れられた存在になってしまっていますが、発表同時は”アメリカのシャーロック・ホームズ”として母国でも熱狂的に迎えられたといいます。そして1915年にはもう映画化され、1952年に制作されたＴＶドラマシリーズ「Craig Kennedy, Criminologist」は、このキャラクターをベースに作られています。

　またアメリカのみならずイギリスでも人気を博し、アメリカ産ミステリとしては初めてイギリスでベストセラーにもなったのだそうです。