娼婦の時 タイトル

娼婦の時

原題

Le temps d'anaïs

発表年

1951

著者/訳者/解説

ジョルジュ・シムノン/日影丈吉/日影丈吉

カバーデザイン

勝呂忠

ページ数

154(巻末「あとがき─クロード・モリアクのシムノン論について─」)

あらすじ(解説文)

出版

早川書房
ハヤカワポケットミステリ667
みぞれの降る、とある夜、オルレアンに近い酒場に異様な風体の男が入ってきた。帽子もオーバーもなく、襟を立てた背広の袖口から雨をしたたらせている。男は疲れ切った体を大儀そうに運んでカウンターに近づくと、酒場の亭主に、電話を貸してくれと低い声で頼んだ。他所者に対する村人の不審と好奇のまなざしを背に浴びながら、彼は電話機に手をのばした。呼び出した相手は土地の憲兵隊だった。「私はたったいま、人を殺してきました……」
アルベール・ボーシュと名乗るその男は、妻と通じていた同僚ニコラを殴り殺したのだと自白した。だが、その直接の動機についてはなぜか沈黙を守るばかりだった。この落ち着きはらった、育ちのよさそうな青年を、息がとまるまで殴り続けるという残忍な犯行に駆りたてたのは何だったのか? その心の奥底を探り出そうとする精神科医に、ボーシュがわずかずつ語りはじめた過去─そこには、いまなお彼に暗い影を投げかけるひとりの女がいた。娼婦アナイス─ボーシュが語りたがらなかったこの女の、謎めいた実像とは……?
発表当時、本国フランスはもとより、英米でも『雪は汚れていた』以来の傑作として絶賛を博した話題作。男女間のセックスを赤裸々に描写し、それを通して殺人者の孤独な内面を冷たく解剖した異色の心理小説!

初版

1961年

重版

1981年再版(480円)

入手

amazon

ISBN

4-15-000667-9

TOPへ