百発百中の男

USA 怪盗ゴダール
(The Infallible Godahl)

怪盗ゴダールの冒険
「怪盗ゴダールの冒険」
(1914)
(国書刊行会)

 アメリカの推理小説家フレデリック・I・アンダースンの生み出したシリーズ・クリミナル。

 1913年に〈サタデー・イヴニング・ポスト〉誌に掲載された短編「百発百中のゴダール」で初登場し、その後発表した6編の中短編でも活躍しました。

 そして著者アンダースンが作家としての地位を確立することができた、記念すべきシリーズ・キャラクターでもあります。

 世界中の富が集まるニューヨークを舞台に奇想天外な方法で盗みを働きますが、その天才的かつ巧妙な手口から未だに警察に犯行を疑われたことさえなく、普段は入会金が5000万ドルもするという〈ペガサス・クラブ〉の会員になるなど、社交界では知られた存在として優雅な日常生活を送っています。

 彼の犯罪の手口はコンピューターのような完璧で正確無比な頭脳を駆使した科学的かつ大胆なもので、かつ極めて合理的。そのため読者も思わずなる程と唸らずにはいられなくなります。

完全犯罪大百科/上
「完全犯罪大百科/上」
(東京創元社)

 そしてそんな彼が盗みを働く目的というのは、金品目当てというよりはむしろ盗むまでの過程で味わえるスリルと冒険を楽しむためと言った方が正しく、だからこそ次々と魅力あふれる犯罪の手口を考え出せるのかもしれません。

 ゴダール譚は初期の6短編が「怪盗ゴダールの冒険」という形で一冊の短編集にまとめられていて、更にその他に単行本未収録の中編が1編残されています。


■原作■

フレデリック・I・アンダースン
(Frederick Irving Anderson 米 1877-1947)


■人物ファイル■

舞台
ニューヨーク
特技
聾唖者だが、そのために他の器官は常人に比べて以上に発達している
協力者
事件の語り手で作家のロリヴァー・アーミストン
事件簿
1短編集(6短編)と1つの中編

■事件ファイル■

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 怪盗ゴダールの冒険 1914 国書刊行会 ミステリーの本棚4('01)
1 百発百中のゴダール
(不敗のゴダール)
1913 創元推理文庫104-28「完全犯罪大百科/上」('79)
2 目隠し遊び
(盲人の道楽)
創元推理文庫170-1「魔術ミステリ傑作選」('79)
3 千人の盗賊の夜
4 隠された戦慄
5 五本めの管
6 スター総出演

【未収録中短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 An Hour of Leisure 1914 -

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