女丈夫と小男の凹凸コンビ

USA バーサ・クール&ドナルド・ラム
(Bertha Cool and Donald Lam)


「屠所の羊」
(1939年)
(早川書房)

 〈弁護士ペリイ・メイスン〉シリーズでもおなじみのアメリカの推理小説家E・S・ガードナーがA・A・フェア名義で発表した長編シリーズに登場する私立探偵コンビで、全部で29の長編に登場します。

 バーサ・クールは初登場時60歳前後の未亡人で、白髪の頭に灰色のきらきら光る目、それに2焦点眼鏡をかけ、体重は何と200ポンド(約91キロ)を超える非常に恰幅の良い体型をしています。 
ゆったりとした洋服を着て颯爽と歩く姿が印象的ですが、金銭に関してはかなりのドケチでユダヤの守銭奴も顔負けのガメツさ。いつも依頼人からできる限り高い依頼料を巻き上げることばかりに気を使っており、夫の死後たった一人で探偵事務所を切り盛りしてきたタフな女丈夫です。

 一方ドナルド・ラムはバーサに雇われた当時は29歳。彫りの深い顔立ちで魅力的な声をしていて、元々は弁護士として活躍していましたが、法の抜け穴的なトリックを使ったために弁護士資格を1年間停止されてしまい、失業中だった所に目にとまったのがバーサの探偵事務所が出していた求人広告でした。

馬鹿者は金曜日に死ぬ
「馬鹿者は金曜日に死ぬ」
(1947年)
(早川書房)

 身長5フィート6インチ(168センチ)、体重125ポンド(約57キロ)と小柄で腕力はまったくありませんが、持ち前の法律知識と切れ味抜群の頭脳、それに要領のいい立ち振舞いで数多くの事件を解決に導き、今ではバーサ女史からもすっかり信頼される存在となっています。

 そして「倍額保険」を機に晴れて共同経営者となり、以後は「クール&ラム探偵社」として、バーサ女史がもっぱら事務所の経営を、ラムが事件調査を担当し、事務所はより一層の発展を見せていきます。


■原作■

A・A・フェア
(A. A. Fair 米 1889-1970)


■人物ファイル■

職業
クール&ラム探偵社を共同で経営する私立探偵
ドナルド・ラムは元弁護士
年齢・身体的特徴
・バーサ・クール女史
初登場時60歳前後、体重は200ポンド(約91キロ)を超える女傑
・ドナルド・ラム
初登場時29歳、身長5フィート6インチ(168センチ)、体重125ポンド(約57キロ)と小柄
好きなもの
バーサ・クール女史はお金(ドケチで守銭奴)
事件簿
29長編に登場

■事件ファイル■

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 屠所の羊
(ボスを倒せ)
1939 早川文庫4-1
HPB630
新潮文庫('59)
早川書房 世界ミステリ全集2('72)
六興出版部 六興推理小説選書102
2 ラム君、奮闘す 1940 早川文庫4-2
HPB706
3 黄金の煉瓦 早川文庫4-3
HPB576
4 大当りをあてろ 1941 早川文庫4-6
HPB578
5 倍額保険 早川文庫4-4
HPB607
6 梟はまばたきしない 1942 早川文庫4-5
HPB564
7 コウモリは夕方に飛ぶ
(蝙蝠は夕方に飛ぶ)
早川文庫4-8
HPB572
8 猫は夜中に散歩する 1943 早川文庫4-7
HPB652
9 斧でもくらえ 1944 早川文庫4-10
HPB615
10 カラスは数をかぞえない 1946 HPB710
11 馬鹿者は金曜日に死ぬ 1947 HPB389
12 寝室には窓がある 1949 早川文庫4-9
HPB382
13 嘘から出た死体 1952 HPB494
14 女は待たぬ 1953 HPB430
15 曲線美に御用心 1956 HPB401
16 You Can Die Laughing
笑ってくたばる奴もいる
1957 HPB489
17 スリップに気をつけて HPB426
18 カウント9 1958 HPB495
19 うまい汁 1959 HPB556
20 おめかけはやめられない 1960 HPB717
21 ひとり者はさびしい 1961 HPB690
22 Shills Can't Cash Chips
悪銭は身につかない
HPB713
23 ものはためし 1962 HPB726
24 Fish or Cut Bait
釣りおとした大魚
1963 HPB786
25 Up for Grabs
ぬれ手で粟
1964 HPB851
26 火中の栗 1965 HPB1132
27 未亡人は喪服を着る 1966 HPB1020
28 Traps Need Fresh Bait
罠は餌をほしがる
1967 HPB1014
29 草は緑ではない 1970 HPB1171

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