E・D・ホックと並ぶ現代を代表する本格短編推理小説作家

USA ウィリアム・ブリテン
(William Brittain)
〔別名 ビル・ブリトゥン (Bill Brittain)〕

ストラング先生の謎解き講義
「ストラング先生の謎解き講義」
(2010年)
(論創社)

 ウィリアム・ブルテンとも表記。アメリカの作家で、エドワード・D・ホックと並び、現代を代表する本格短編推理小説作家の一人に挙げられます。この点偶然にも出身地もホックと同じニューヨーク州ロチェスターで同郷になります。

 本職は高校教師で、1952年から86年まで30年以上に渡ってニューヨーク州の高校で教鞭を執りました。

 ミステリ作家としては1964年にデビューし、翌1965年に〈エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン(EQMM)〉に掲載された「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」と「エラリー・クイーンを読んだ男」の2つの短編で注目を集めます。

 これらの〈~を読んだ~〉("The Man who Read...")というタイトルがつけられた短編は11作品あり、どれも原作の雰囲気をよく捉えたユーモアたっぷりの好編です。

 その他にも小太りで定年間近のオルダーショット・ハイスクールの化学教師のレナードストラングという高校教師を主人公とした短編シリーズがあります。

ジョン・ディクスン・カーを読んだ男
「ジョン・ディクスン・カー
を読んだ男」
(2007年)
(論創社)

 このシリーズでは探偵役の職業柄もあってか学校絡みのトラブルや事件が多く、凶悪犯罪には遭遇しませんが、いつも論理的かつ緻密な推理で事件の真相を鮮やかに解き明かして見せます。

 学校の評判を気にするガスリー校長からは疎まれていますが、かつての教え子でもある地元警察のロバーツ部長刑事からは厚い信頼を寄せられています。

 またミステリ以外にビル・ブリトゥン名義で児童書を10冊以上発表していて、そのうちの3作品が邦訳されています。


■作家ファイル■

出身地
アメリカ、ニューヨーク州ロチェスター
生没
1930年12月16日~2011年12月16日
作家としての経歴
1964
〈アルフレッド・ヒッチコックス・ミステリ・マガジン〉の1964年10月号掲載の短編「Joshua」でデビュー
1965
〈エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン〉誌12月号に短編「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」と「エラリー・クイーンを読んだ男」を発表
シリーズ探偵
レナード・ストラング先生 (Mr. Leonard Strang)
代表作
「ストラング先生と博物館見学」(短編)(ストラング先生)
「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」(短編)

■著作リスト■

1 レナード・ストラング先生登場作品リスト

2 〈~を読んだ~〉シリーズ作品リスト

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 ジョン・ディクスン・カーを読んだ男 2007 論創社 論創海外ミステリ68('07) 全14編
日本で独自に編纂
1 ジョン・ディクスン・カーを読んだ男 1965 早川文庫277-1「密室殺人傑作選」('03)
HPB1161「密室殺人傑作選」
早川文庫80-1「あの手この手の犯罪 アメリカ探偵作家クラブ傑作選1」('82)
早川書房 世界ミステリ全集18「37の短篇」('73)
HMM'89.8
HMM'66.3
2 エラリー・クイーンを読んだ男
(エラリイ・クイーンを読んだ男)
HMM'66.3
3 レックス・スタウトを読んだ女 1966 HMM'67.7
4 アガサ・クリスティを読んだ少年
(クリスティーを読んだ少年)
(アガサ・クリスティーを読んだ少年)
講談社文庫「ユーモアミステリ傑作選」('80)
HMM'75.6
5 コナン・ドイルを読んだ男 1968 HMM'70.4
6 G・K・チェスタトンを読んだ男
(チェスタートンを読んだ男)
1973 HMM'72.6
7 ダシール・ハメットを読んだ男
(ダシール・ハメットを捜せ)
1974 バベル・プレス「本の殺人事件簿─ミステリ傑作20選2」('01)
HMM'74.11
8 ジョルジュ・シムノンを読んだ男
(シムノンを読んだ男)
1975 パシフィカ 名探偵読本2「メグレ警視」('78)
HMM'77.2
9 ジョン・クリーシーを読んだ少女
10 アイザック・アシモフを読んだ男たち
(黒後家ファン・クラブ)
1978 EQ'78.11
11 読まなかった男 1966 HMM'79.7

3 「魔女の木」村 (Coven Tree) シリーズ(児童書)

すべてビル・ブリトゥン名義

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Devil's Donkey 1981 -
2 The Wish Giver
ふしぎなふしぎなカード
1983 文研出版('87) ジュヴナイル・ファンタジー
3 Dr. Dredd's Wagon of Wonders 1987 -
4 Professor Popkin's Prodigious Polish: A Tale of Coven Tree 1990 -

4 その他の作品

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 ジョン・ディクスン・カーを読んだ男 2007 論創社 論創海外ミステリ68('07) 〈~を読んだ~〉シリーズ11他、全14編、日本で独自に編纂
1 ザレツキーの鎖 1968
2 うそつき 1972 集英社 海外推理傑作選3「黒い殺人者」('78)
3 プラット街イレギュラーズ 1973

【短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Falling Object 1971 -
2 Wynken, Blynken and Nod
三匹の鮫
1972 HMM'74.8
3 The Impossible Footprint 1974 -
4 Historical Errors 1976 -
5 The Second Reason 1977 -

【児童書】

すべてビル・ブリトゥン名義

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 魔法にかかった世界じゅうのお金 1979 文研出版 文研じゅべにーる('88) ジュヴナイル・ファンタジー
2 Who Knew There'd Be Ghosts? 1985 -
3 ぼくはスーパーマン新入生 1988 文研出版 文研じゅべにーる('90) ジュヴナイル・ファンタジー
4 My Buddy, The King 1989 -
5 Wings 1991 -
6 The Ghost From Beneath The Sea 1992 -
7 Shape-Changer 1994 -
8 The Wizards And The Monster -
9 The Mystery Of The Several Sevens -

【参考】「ジョン・ディクスン・カーを読んだ男」(論創社 論創海外ミステリ)
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