UK リリアン・J・ブラウン
(Lilian Jackson Braun)

猫は殺しをかぎつける
「猫は手がかりを読む」
(1966年)
(早川書房)

 シャム猫ココを主人公にしたミステリー・シリーズで知られるアメリカの女性推理小説家。詳細な経歴は明らかになっておらず、生年もはっきりしていませんが、長年コピーライターや編集者として勤務していたといいます。

 シャム猫ココのシリーズは彼女が実際に飼っていた2匹のシャム猫のうちココという名前の猫が10階から突き落とされ転落死してしまったという事件の悲しみを乗り越えるために書かれたものだそうで、1962年に短編「マダム・フロイの罪」がEQMMに掲載されたことをきっかけにシリーズがスタートし、1966年にはハードカヴァーで長編「猫は手がかりを読む」をE・P・ダットン社より発表します。

 その後もシリーズものとして第3長編まで発表されますが、当時はさして話題になることもなく、4作目の「猫は殺しをかぎつける」も完成させたものの、出版を断られてしまいます。

 当時デトロイト・フリー・プレスの記者として活躍していた彼女は前後して夫が亡くなったたこともあり、それからしばらくは仕事に忙殺されていたらしく原稿のことは忘れ去られていましたが、79年に新聞社を退職し俳優の夫と再婚すると、原稿を読んだ夫に今の時代に合っているからと出版を勧められます。

猫は殺しをかぎつける
「猫は殺しをかぎつける」
(1986年)
(早川書房)

 そこで多少手を入れてエージェントに送ったところ、見事ジョウヴ・ブックよりペーパーバックで出版されることとなり、旧3作も同時にペーパーバック化も決まったのでした。

 それは最初の長編が発表されてからおよそ20年後の1986年のことで、こうして発表された第4長編「猫は殺しをかぎつける」はその軽妙な語り口と猫好きにはたまらない設定でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞のペーパーバック賞の候補作となるなど一躍話題となり、その後同シリーズは順調に作品が発表され続けて30作を超える人気シリーズへと成長しています。

 また再婚した夫と一緒に劇の脚本もいくつか手がけているそうです。


■作家ファイル■

出身地
アメリカ
生没
1913年6月20日~2011年6月4日(97歳)
作家としての経歴
1962
短編「マダム・フロイの罪」がエラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン〈EQMM〉に掲載される
1966
E・P・ダットン社よりハードカヴァーで長編「猫は手がかりを読む」を刊行。これも含め68年までにシャム猫ココの登場する3冊の長編を発表。
1986
20年近く前に出版を断られたシャム猫ココの登場する第4長編「猫は殺しをかぎつける」をジョウヴ・ブックよりペーパーバックで刊行し、アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞のペイパーバック賞の候補作になるなど、一躍話題を集める
シリーズ探偵
シャム猫ココと飼い主のジム・クィララン (Koko & Jim Qwilleran)
代表作
「猫は手がかりを読む」
「猫は殺しをかぎつける」

■著作リスト■

1 シャム猫ココ登場作品リスト

2 その他の作品

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Short & Tall Tales: Moose County Legends Collected by James Mackintosh Qwilleran 2002 -

【編書】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Mystery Cats 1989 -
2 More Mystery Cats 1993 -
3 Mystery Cats III: More Feline Felonies 1995 - シンシア・マンソンとの共編

【エッセイ・評論その他】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Lady Who...
レディは殺しをかぎつける
HMM'92.3 インタビュー


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