ジャック・フィニイ
(Jack Finney)

　アメリカの小説家で、ミステリー作家としてよりもむしろファンタジー・幻想文学の分野で特に高い人気を集めました。

　ウィスコンシン州のミルウォーキーに生まれ、大学で学んだ後ニューヨークの広告代理店に勤務し、その傍らコピーライターとして小説を書いていました。

　やがて1947年に〈エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン（ＥＱＭＭ）〉の短編コンテストで短編「未亡人ポーチ」で短編賞を受賞し作家として認知されるようになります。

　その後しばらくは短編を中心に作品を発表していましたが、1954年になると長編にも意欲を見せ始め、処女長編「五人対賭博場」で長編デビューを果たします。そしてこれが翌年映画化されて高い評価を受けます。

　以後も「ボディ・スナッチャー」という題名で何度も映画化されているＳＦファンタジー・タッチのミステリ「盗まれた街」、ユーモア色の濃いミステリ作品「完全脱獄」「クイーン・メリー号襲撃」などの質の高い傑作を多数発表し、映像化も数多くなされています。

　また短編の分野でもその才能を発揮し、多くの作品が〈コリヤーズ〉や〈コズモポリタン〉誌などに掲載されています。

　そしてこれらの短編を集めたノスタルジックな雰囲気を感じさせるファンタジー短編集「レベル３」や「ゲイルズバーグの春を愛す」は日本でも高い支持を集めています。