フィナーレは念入りに タイトル

フィナーレは念入りに

原題

The Wary Transgressor

発表年

1952

著者/訳者/解説

レイモンド・マーシャル(J・H・チェイス)/岡村孝一/明記なし

カバーデザイン

勝呂忠

ページ数

305(巻末「フランスのレイモンド・マーシャル(J・H・チェイス)」及びマーシャルの著作リスト)

あらすじ(解説文)

出版

早川書房
ハヤカワポケットミステリ1155
女は立ち上り、ガイド・ブックを取り出すと熱心に頁を繰りはじめた。なんともいえずすんなりと伸びた脚。強い太陽の光のなかを、じつに軽々と、しかも優雅に、彼の方へ進んでくる。眼は大きく、唇は燃えるように紅い。女は眼をあげて彼をじっと見つめた。エメラルド・グリーンのブラウスが、彼の鼻さきに突き出していた。胸は思いきって開いている……。もぐりの案内人と美貌の億万長者夫人ローラとの出会いは偶然だった。いや、偶然を装ったローラの巧妙なたくらみだった。
もぐりの案内人デイビッド・チショルムは、いまでこそ異郷イタリアの空の下、警察に追われる身となり、うらぶれた生活を送っていたが、元はニューヨークの建築家であった。彼のこの零落は六年前の、ある忌わしい事件のためであった。そんな彼にとってローラとの出会いは、恵みとも思えた。
ローラは、自動車事故で全身不随となった夫の嫉妬のため、とらわれの身同様であった。彼女は、デイビッドに夫の看護人として、また自分の情夫として屋敷に来るようにすすめた。だが、これは口実にすぎず、夫人の真意は、彼の手を借りて夫を秘かに殺害することだった。しかも、夫人は彼の過去をにぎっていて、彼に断わる口実をあたえなかった……。
〈やるからには〉─慎重にやらなければならない。色と金をめぐる非情の奸計! 犯罪者の心理の裏をかく、ブラック・ユーモア的どんでんがえしの妙味! 鬼才チェイスがレイモンド・マーシャル名義で送る異色作!

初版

1971年(470円)

重版

入手

amazon

ISBN

4-15-001155-9

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