ファーガス・ヒューム
(Fergus Hume)

　イギリス生まれのオーストラリア人作家。ロンドンで生まれ、ニュージーランドの大学に学び、オーストラリアのメルボルンで法廷弁護士の書記をしていました。1888年後はイギリスサセックス州に定住し、生涯そこで生活します。

　ルコック探偵でおなじみのエミール・ガボリオの影響で小説を書き始め、1886年処女作「二輪馬車の秘密」でデビュー、この作品は出版されるや爆発的な売り上げを記録しベストセラーになりましたが、著作権契約を結んでいなかったため、作者であるヒューム自身には利益をもたらさなかったといいます。日本でも当時の人気翻訳家丸亭素人により明治24年に「鬼車」の題名で翻案されています。

　多作家で他にも150近い推理小説および普通小説を書きましたが、どれも独創性に乏しく、評価は芳しくありません。ただ、ホームズ期に先立って書上げられたこの「二輪馬車の秘密」は内容もさることながら歴史的にみても重要な意義も持つ名作の一つといえるでしょう。