USA F&R・ロックリッジ
(ロックリッジ夫妻)
(Richard & Frances Lockridge)

湖畔の殺人
「湖畔の殺人」
(1941年)
(六興出版部)

 アメリカの推理小説家で、夫婦で作品を発表しました。

 夫のリチャードはミズーリ州カンザスシティで新聞記者をしていた23歳の時にフランシス・デーヴィスと知り合い結婚。
 その後はニューヨークに移住して〈ニューヨーク・サン〉紙で劇評家として活躍していましたが、その傍ら1932年頃から〈ニューヨーカー〉誌に夫婦自らをモデルにしたノース夫妻を主人公とした短編を寄稿するようになり、それらを集めた単行本「ノース夫妻」が1936年に出版されるとホーム・ドラマとして上演されて好評を博します。

 その後1940年になると、妻・フランセスが大のミステリ・ファンだったこともあってか、前の短編集で主人公として活躍したノース夫妻が登場する推理小説「ノース夫妻、殺人に遭う」を夫婦合作で発表。

 夫婦間の愛情をコメディ・タッチで描いたこの作品はたちまちアメリカの読者に受け入れられ、以後シリーズ化されたこの作品は1942年からCBS局でラジオ・ドラマとして毎週放映され、映画化もされるなどして、大人気を博しました。

死は囁く
「死は囁く」
(1953年)
(東京創元社)

 夫婦合作とされていますが、主に妻フランセスがプロット・筋立てをし、夫がそれを元にして執筆を担当したと言われています。

 その作風はプロットやトリックを重視するというよりはノース夫妻をはじめとする登場人物を明るくユーモアに描くところにあります。ドロシー・L・セイヤーズやナイオ・マーシュの系統に属する作家といえるでしょう。

 夫婦共同で作品を発表しましたが、夫人の死後リチャードは再婚するとともに単独で作品を発表し続けて、約80編の推理小説を書いています。


■作家ファイル■

出身地・学歴
■リチャード・ロックリッジ (Richard Lockridge)■
アメリカ、ミズーリ州セントジョーゼフ
ミズーリ大学中退後、カンザスで新聞社勤務
■フランセス・ロックリッジ (Frances Lockridge)■
アメリカ、ミズーリ州カンザスシティ
カンザス大学卒
生没
リチャード・ロックリッジ(1898年~1982年)
フランセス・ロックリッジ(1890年~1963年)
作家としての経歴
1936
〈ニューヨーカー〉誌に1932年頃から寄稿していたノース夫妻を主人公とするコメディ風の短編集「ノース夫妻」を発表
1940
リチャード41歳の時にノース夫妻シリーズのミステリ長編第1作「ノース夫妻、殺人に遭う」でデビュー
1960
アメリカ探偵作家クラブ(MWA)会長に夫婦で就任
1963
妻フランセス死去。その後リチャードは再婚し、単独で作家活動を続ける
シリーズ探偵
ノース夫妻(パメラ&ジェラルド・ノース) (Pamela and Gerald North)
マートン・ヘイムリッチ警視 (Captain Merton Heimrich)
ポール・レーン (Paul Lane)
ネーサン・シャピロ (Nathan Shapiro)
代表作
「湖畔の殺人」
「舞台稽古殺人事件」

■著作リスト■

1 ノース夫妻登場作品リスト

2 マートン・ヘイムリッチ警部登場作品リスト

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 湖畔の殺人 1941 六興出版部 六興推理小説選書105('57) ノース夫妻との共演
2 Death of a Tall Man
(背の高い男の死)
1946 - ノース夫妻との共演
3 I Want to Go Home
(私は家へ帰りたい)
1948 - サスペンス
4 Spring Your Web, Lady!
(レイディよ、蜘蛛の巣を強く張れ)
1949 -
5 Foggy, Foggy Death
(濃い霧のような死)
1950 -
6 A Client Is Canceled
(弁護士の依頼人が殺された)
1951 -
7 Death by Association
(Trial by Terror)
(連想による死)
1952 -
8 Stand Up and Die
(起立して死ぬんだ)
1953 -
9 Death and the Gentle Bull
(Killer in the Straw)
(死と柔順な牡牛)
1954 -
10 Burnt Offering
(燃える貢物)
1955 -
11 Let Dead Enough Alone 1956 -
12 Practice to Deceive 1957 -
13 Accent on Murder 1958 -
14 Show Red for Danger 1960 -
15 With One Stone
(英 No Dignity in Death)
1961 -
16 First Come, First Kill 1962 -
17 The Distant Clue 1963 -
18 Murder Can't Wait 1964 - リチャード単独名義
19 Murder Roundabout 1966 -
20 With Option to Die 1967 -
21 A Risky Way to Kill 1969 -
22 Inspector's Holiday 1971 -
23 Not I, Said the Sparrow 1973 -
24 Dead Run 1976 -
25 The Tenth Life 1977 -

【短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Searching Cats
探しものをする猫
1956 HMM'97.2
2 誰もいえない HPB722「EQMMアンソロジー I」('62)
EQMM'58.4
3 Cat of Dreams
夢の猫
1958 EQMM'61.5
4 All Men Make Mistakes
誰にも失敗はある
EQMM'59.8
5 Captain Heimrich Stumbles 1959 -
6 殺人のにおい 1960 創元推理文庫104-24「ミニ・ミステリ傑作選」('75)
7 Winter's Tales
冬物語
1961 HMM'78.2
8 The Accusing Smoke
(Allergic to Murder)
-

3 ポール・レーン登場作品リスト

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Think of Death
(死を考えよ)
1947 -
2 Night of Shadows 1962 -
3 Quest of the Bogeyman 1964 -
4 Squire of Death 1965 - リチャード単独名義
5 A Plate of Red Herrings 1968 -
6 Twice Retired 1970 -
7 Something up a Sleeve 1972 -
8 Death on the Hour 1974 -

4 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Crimson Circle
(深紅色の輪)
1953 -
2 The Faceless Adversary
(Case of the Murdered Redhead)
(顔のない敵手)
1956 -
3 The Tangled Cord 1957 -
4 Catch as Catch Can 1958 -
5 The Innocent House 1959 -
6 Murder and Blueberry Pie
(英 Call It Coincidence)
-
7 The Golden Man 1960 -
8 The Drill Is Locked 1961 -
9 And Left for Dead 1962 -
10 The Ticking Clock -
11 The Devious Ones
(英 Four Hours to Fear)
1964 -

【リチャード・単独名義の長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Death in the Mind
(精神の死)
1945 - George Hoben Estabrooksとの合作、スパイ・スリラー
2 A Matter of Taste
(趣味の問題)
1949 - サスペンス
3 Murder for Art's Sake 1967 -
4 Murder in False-Face 1968 -
5 Die Laughing 1969 -
6 Troubled Journey 1970 -
7 Death in a Sunny Place 1971 -
8 Preach No More -
9 Write Murder Down 1972 -
10 Or Was He Pushed? 1975 -
11 A Streak of Light 1976 -
12 The Old Die Young 1980 -

【邦訳短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Payoff for the Banker 1946 -
2 Murder Within Murder 1947 -
3 I Want to Go Home 1949 -
4 The Faceless Adversary 1956 - ネーサン・シャピロ
5 The Nice Judge Trowbridge
やさしいトローブリッジ判事
早川書房「ニューヨーカー短篇集 II」('69) リチャード単独名義

【編書】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Crime for Two 1955 -

【児童書】

すべてリチャード単独名義

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Proud Cat
(自尊心のある猫)
1951 -
2 The Lucky Cat
(幸運な猫)
1953 -
3 The Nameless Cat
(名前のない猫)
1954 -

【ノンフィクションその他】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 How to Adopt a Child 1928 -
2 Darling of Misfortune 1932 -
3 Cats and People
(猫と人びと)
1950 - 愛猫家の随筆集
4 The Cat Who Rode Cows 1955 - リチャード単独名義
5 The Empty Day 1965 -
6 Encounter in Key West 1966 -
7 One Lady Two Cats 1967 -

【参考】「湖畔の殺人」(六興出版部 六興キャンドルミステリ)
「死は囁く」(東京創元社 現代推理小説全集)
海外サイト「CRIME & MYSTERY FICTION」様
海外サイト「Stop, You're Killing Me!」様
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