ヴァン・ダインの称賛した「停まった足音」で知られる幻の作家

UK A・E・フィールディング
(A. E. Fielding)

停まった足音
「停まった足音」
(1926年)
(論創社)

 イギリスの女流作家。本名はドロシー・フィールディングといい、1924年発表の長編「仮面の殺人」を皮切りに1944年までに計25冊のミステリ長編を発表しました。

 彼女の代表作として知られているのが1926年に発表された長編「停まった足音」で、これは本格黄金時代の作家S・S・ヴァン・ダインが1927年に発表した推理小説のアンソロジー「The Great Detective Stories」の序文として書いた「推理小説論」の中で取り上げられたことから一躍名を知られるようになった作品です。

 そしてこの長編は、5冊で中絶してしまった1935年刊行の柳香書院の世界探偵名作全集を初めとして戦前より幾度となく刊行予告がなされ、その度に様々な事情により邦訳まで至らなかった”幻の長編”として、海外本格ミステリファンの間では有名な作品でもあります。

 彼女の作品は、黄金時代の巨匠F・W・クロフツのフレンチ警部を彷彿とさせるようないわゆる努力型の探偵による謎解きを特徴とし、その大半に探偵役として登場するロンドン警視庁のポインター主任警部の地道で綿密な捜査を背景に一歩一歩真相に近づいていくところにその面白さがあると言われています。


■作家ファイル■

本名
ドロシー・フィールディング (Dorothy Fielding)
出身地
イギリス
生没
1884年~没年不詳
作家としての経歴
1924
長編「仮面の殺人」でデビュー
1926
代表作の長編「停まった足音」を発表
シリーズ探偵
ポインター主任警部 (Chief Inspector Pointer)
代表作
「停まった足音」

■著作リスト■

1 ポインター主任警部登場作品リスト

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Eames-Erskine Case
仮面の殺人
1924 博文館 探偵傑作叢書46('26)
2 The Charteris Mystery
(チャータリスの謎)
1925 -
3 停まった足音 1926 論創社 論創海外ミステリ52('06)
4 The Clifford Affair
(改 The Clifford Mystery)
1927 -
5 The Mysterious Partner 1929 -
6 Murder at the Nook -
7 The Craig Poisoning Mystery 1930 -
8 The Wedding-Chest Mystery -
9 The Upfold Farm Mystery 1931 -
10 Death of John Tait 1932 -
11 The Westwood Mystery -
12 The Tall House Mystery 1933 -
13 The Cautley Conundrum
(米 The Cautley Mystery)
1934 -
14 The Paper Chase
(米 The Paper-Chase Mystery)
-
15 Tragedy at Beechcroft 1935 -
16 The Case of the Two Pearl Necklace 1936 -
17 Mystery at the Rectory -
18 Scarecrow 1937 -
19 Black Cats Are Lucky -
20 Pointer to a Crime 1944 -

2 その他の作品

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Deep Currents 1924 -
2 The Net Around Joan Ingilby 1928 -
3 The Cluny Problem -
4 The Case of the Missing Diary 1935 -
5 Murder in Suffolk 1938 -

【参考】「停まった足音」(論創社 論創海外ミステリ)
access-rank


TOPへ