二つの性格を持つキュートなお嬢様探偵

JPN 新妻千秋
(Chiaki Niizuma)

覆面作家は二人いる
「覆面作家は二人いる」
(1991年)
(角川書店)

 北村薫の生み出した、可憐でキュートなお嬢様探偵。実家は世田谷に大豪邸を構える大富豪。

 肩の辺りから緩やかにウエーブしたロングの髪に子供の肌を思わせるつやつやした抜けるような白い肌、まつ毛の長い大きな瞳で、誰もが思わず絶句するほどの天国的な美貌の持ち主で、ピアノや美術など多彩な趣味を持ち、おまけに一を聞けば百を知るほどの明晰な頭脳も持っている、まさに非の打ちどころのないキャラクター像です。

 しかしその一方で千秋にはひとつの厄介なことがありました。それは別人格といってもいいほどの違いを持つ2つの性格で、普段お屋敷の中にいる時はカーテンの陰に隠れてしまうなど借りてきた子猫のように人見知りで内気な性格で、人前に出ればもじもじとしてしまい、対人恐怖症といってもいいほどの恥ずかしがり屋なのです。

 ところがそれが一旦お屋敷の外に出ると、途端にサーベルタイガーのような凶暴な性格に大変身。表情も喋り方も歩き方もまるで別人のように変わり、名前の呼び方も「さん」つけから呼び捨てまたは「おまえ」に…。

覆面作家の夢の家
「覆面作家の夢の家」
(1997年)
(角川書店)

 そして街のゴロツキ相手に啖呵を切っては、ヘタに手を出そうものならたちまち相手は殴り倒されるか投げ飛ばされてしまうほどの天変地異の格闘技の腕前を見せるのです。

 そんな強烈な個性を持つスーパーお嬢様が弱冠19歳の時に”覆面作家”というペンネームで雑誌〈推理世界〉に小説を書いたことから物語は始まり、猫の目のように目まぐるしく変わる性格で担当編集者の岡部良介を振り回しつつも、彼を相棒にして日常に潜む謎や事件を鮮やかに解決していきます。

 なおこのシリーズは1998年にNHKにより「お嬢様は名探偵」のタイトルでドラマ化され、あすかコミックスからは全4巻でコミックス化もされています(ちなみに2巻と4巻は北村薫監修による原作にはないオリジナルストーリー)。また海洋堂からは2体セットの新妻千秋の1/8フィギュアも発売されています。


■原作■

北村薫
(Kaoru Kitamura 日 1949- )


■人物ファイル■

職業
〈覆面作家〉というペンネームを持つミステリー作家
性格
外弁慶(家の中では子猫のようにおとなしく人見知りする恥ずかしがり屋だが、外に出るとサーベルタイガーのように凶暴な性格に変貌する)
特技
推理
格闘技(ボクサーあがりの赤沼執事直伝の腕前)
ピアノ(3か月で習得)
趣味
美術品収集(アンティークのティーカップコレクションがお気に入りで毎回違うものが登場する)
カラオケ
苦手
アルコール(ビール1杯でふらつく)
家族構成
父親(外遊中で不在がち)
母親(ソプラノ歌手だったが、千秋が小さい頃に他界)
執事の赤沼(50歳ぐらい、不在がちの父親の代わりに千秋の身の回りの世話をすべてこなす)
協力者
世界社出版の雑誌〈推理世界〉担当編集者の岡部良介
良介の双子の兄で警視庁の刑事でもある優介
事件簿
3短編集(9編)に登場

■事件ファイル■

【短編集】

No. 事件名 発表年 出版 備考
1 覆面作家は二人いる 1991 角川文庫('97)
中央公論新社 Cノベルス('02)
角川書店
1 覆面作家のクリスマス 1991
2 眠る覆面作家
3 覆面作家は二人いる
2 覆面作家の愛の歌 1995 角川文庫('98)
中央公論新社 Cノベルス('02)
角川書店
1 覆面作家のお茶の会 1994
2 覆面作家と溶ける男
3 覆面作家の愛の歌 1995
3 覆面作家の夢の家 1997 角川文庫('99)
中央公論新社 Cノベルス('03)
角川書店
1 覆面作家と謎の写真
2 覆面作家、目白を呼ぶ
3 覆面作家の夢の家

【コミック原作】

No. 事件名 発表年 出版 備考
1 覆面作家は二人いる1〜4 1994

1998
角川書店 あすかコミックス 美濃みずほ画

【参考】「静かなる謎 北村薫」(宝島社 別冊宝島1023)
 

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