生徒からの信頼も厚い現代の〈思考機械〉ともいうべき高校教師探偵

USA レナード・ストラング先生
(Mr. Leonard Strang)

ストラング先生の謎解き講義
「ストラング先生の謎解き講義」
(2010年)
(論創社)

 アメリカの推理小説家ウィリアム・ブリテンの生み出した本職は教師の素人探偵。長きに渡って〈エラリー・クイーンズ・ミステリマガジン(EQMM)〉に掲載されて人気を集めたシリーズで、エラリー・クイーンはストラング先生をして「現代の〈思考機械〉ともいうべき存在」と評したといいます。日本でも好評だったようで、ハヤカワミステリマガジン(HMM)やEQに何度も掲載されています。

 オルダーショット高校に長年勤める一般科学担当の高校教師。独身で高校生だったのが50年も前で、1937年の大恐慌の終わり頃には既に教鞭を執っており在職35年という職歴は他の誰にも負けず、まさに同校の生き字引といえる存在です。

 その風貌は”地の精”と呼ばれるように背は低く細身で猫背、最近急速に薄くなっている髪の毛を気にするものの、身だしなみは気にしない方で、自分のしているネクタイの色も覚えておらず、上着はいつもしわくちゃ、愛用のフェルト帽は何か不満がある度に床に投げつけ踏みつぶされるためくたびれていて、愛車の紫色のクーペは時代遅れの旧式でしょっちゅうエンストを起こし、根は善人だが体面を気にし権力には弱いガスリー校長からはいつも眉をひそめられています。

 もっとも教え子の誰にでも公平であることを信条とし、無実の罪を着せられて窮地に陥った生徒を救うこともしばしばであるため、生徒からは信頼厚く畏怖の対象であると同時に尊敬されています。

 超人的探偵ではないものの、どんな難問であれすべての証拠が揃い適切な推理を試みれば必ず解き明かすことができると豪語し、掛けていた黒ぶちの眼鏡を上着の胸ポケットにしまうか、メガネを外してネクタイで拭き右手の親指と人差し指で持って振り回す仕草を合図に人々は彼の講義に耳を傾けることになるのです。

 協力者としてはオルダーショット警察刑事課の部長刑事で、巨漢で石頭だが真っ正直で粘り強い捜査が信条のポール・ロバーツは、ストラング先生の非公式な協力を得て難事件をいくつも解決している他、ストラング先生の下宿屋のおかみで、人はいいが一度しゃべり出すと止まらないのが玉に疵だが、それが事件解決のヒントになることもあるというマッケイ夫人などの個性的なキャラクターも登場し、ストーリーを盛り上げてくれます。


■原作■

ウィリアム・ブリテン
(William Brittain 米 1930-2011)


■人物ファイル■

職業
オルダーショット高校勤務の高校教師
一般科学を担当(物理・生物・化学に加え「論理学と科学的方法」と題した授業を受け持つ)
口癖
感情が昂ぶると「くそっ」「こんちくしょう」の意味で耳慣れない生物用語を口にする
愛用品
トレードマークでもある傷のある特大のブライヤーパイプ(ひどく嫌な臭いの煙をふいごのように吐き出す)
協力者
マーヴィン・W・ガスリー校長(ストラング先生の引き立て役に回る事が多い)
ポール・ロバーツ部長刑事(オルダーショット警察刑事課の刑事)
マッケイ夫人(ストラング先生の下宿屋のおかみ)
事件簿
32短編

■事件ファイル■

【日本で独自編纂の短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 ストラング先生の謎解き講義 2010 論創社 論創海外ミステリ94('10)
1 ストラング先生の初講義 1967
2 ストラング先生の博物館見学 1968 早川文庫80-9「密室大集合 アメリカ探偵作家クラブ傑作選7」('84)
HMM'83.2
3 ストラング先生、グラスを盗む 1971 HMM'71.11
4 ストラング先生と消えた兇器
5 ストラング先生の熊退治 HMM'72.3
6 ストラング先生、盗聴器を発見す 1973 HMM'75.3
7 ストラング先生の逮捕 1974
8 ストラング先生、証拠のかけらを拾う 1975 創元推理文庫200-1「風味豊かな犯罪」('80)
9 安楽椅子探偵ストラング先生 1975 HMM'76.3
10 ストラング先生と爆弾魔 1976
11 ストラング先生、ハンバーガーを買う 1978 EQ'87.1
12 ストラング先生、密室を開ける 1981
13 ストラング先生と消えた船 1982 EQ'82.9
14 ストラング先生と盗まれたメモ 1983 EQ'83.9

【作品リスト】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 ストラング先生の初講義 1967 論創社 論創海外ミステリ94「ストラング先生の謎解き講義」('10)
2 Mr. Strang Performs an Experiment
ストラング先生実験する
HMM'78.6
3 Mr. Strang Finds the Answers -
4 Mr. Strang Sees a Play 1968 -
5 ストラング先生と博物館見学 論創社 論創海外ミステリ94「ストラング先生の謎解き講義」('10)
早川文庫80-9「密室大集合 アメリカ探偵作家クラブ傑作選7」('84)
HMM'83.2
6 Mr. Strang Pulls a Switch
ストラング先生と消えた少年
1969 HMM'75.10
7 Mr. Strang Take a Hand
ストラング先生と学園紛争
1970 HMM'72.7
8 ストラング先生グラスを盗む 1971 論創社 論創海外ミステリ94「ストラング先生の謎解き講義」('10)
HMM'71.11
9 ストラング先生と消えた兇器 論創社 論創海外ミステリ94「ストラング先生の謎解き講義」('10)
10 ストラング先生の熊退治 論創社 論創海外ミステリ94「ストラング先生の謎解き講義」('10)
HMM'72.3
11 Mr. Strang Check a Record
ストラング先生の出席簿
1972 HMM'72.7
12 ストラング先生と凶暴な自動車 HMM'72.10
13 Mr. Strang Versus the Snowman -
14 Mr. Strang Examins a Legend
ストラング先生の伝説考
1973 HMM'73.5
15 Mr. Strang Invents a Strange Device
ストラング先生奇手をうつ
HMM'74.3
16 Mr. Strang Follows Through -
17 ストラング先生、盗聴器を発見す
(ストラング先生盗聴器を発見する)
論創社 論創海外ミステリ94「ストラング先生の謎解き講義」('10)
HMM'75.3
18 ストラング先生の逮捕 1974 論創社 論創海外ミステリ94「ストラング先生の謎解き講義」('10)
19 Mr. Strang and the Cat Lady 1975 -
20 ストラング氏証拠のかけらを拾う 論創社 論創海外ミステリ94「ストラング先生の謎解き講義」('10)
創元推理文庫200-1「風味豊かな犯罪」('80)
21 安楽椅子探偵ストラング先生 論創社 論創海外ミステリ94「ストラング先生の謎解き講義」('10)
HMM'76.3
22 ストラング先生と爆弾魔 1976 論創社 論創海外ミステリ94「ストラング先生の謎解き講義」('10)
23 Mr. Strang Accepts a Challenge
ストラング先生挑戦を受ける
HMM'77.1
24 ストラング先生、ハンバーガーを買う
(先生ハンバーガーを買う)
1978 論創社 論創海外ミステリ94「ストラング先生の謎解き講義」('10)
EQ'87.1
25 ストラング先生、密室を開ける 1981 論創社 論創海外ミステリ94「ストラング先生の謎解き講義」('10)
26 先生絵解きをする EQ'82.1(25)
27 先生藁をつかむ EQ'86.3(50)
28 ストラング先生と消えた船
(先生と消え失せた船)
1982 論創社 論創海外ミステリ94「ストラング先生の謎解き講義」('10)
EQ'82.9
29 先生暗号を解く EQ'88.3(62)
30 Mr. Strang Studies Exhibit A -
31 ストラング先生と盗まれたメモ
(先生メモを探す)
1983 論創社 論創海外ミステリ94「ストラング先生の謎解き講義」('10)
EQ'83.9
32 Mr. Strang Takes a Trip
先生旅に出る
EQ'84.9

【参考】「ストラング先生の謎解き講義」(論創社 論創海外ミステリ)
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