出版 |
久保書店
Q-Tブックス |
そのとき、バスルームのドアの握りが、ゆっくりまわった。泥棒ではないと直感した。スラッシュが相手なら、つぎの行動が予測できるので、まずドアをゆっくり開けさせておいて、いきなり強くひいて開き、身を沈めて床から射つ。クリヤキンはおちついて、必要に応じて動ける態勢にあった。
ドアの握りの動きがとまった。ドアが割れ目を見せたようにすこし開かれた。予測どおりだった。けとばして出てきたのではひとたまりもないことを知っている。中の男は戸口の柱にぴたりとはりついて緊張し威嚇射撃をするチャンスをねらっていることだろう。これはふつうの泥棒なんかじゃない。れっきとした訓練をされてきた人間だ。とつぜん、中の男がピストルを手にとび出してきた。クリヤキンは引金をひきしぼった。 |