出版 |
久保書店
Q-Tブックス |
イリヤは片方へかがみこむなり、鉄棒を振っている手首を握ってころがった。驚きの叫びとともに、そいつはイリヤの上を飛んでゆき、別の店の飾窓へ頭から突っこんでいった。ガラスの破片がまだ大理石の床で音を立てているあいだに、クリヤキンはソロたちのほうを見た。ソロはころがり、足で二人の近づいてくるのを防ぎながら、上衣のホルスターからべレッタを抜こうともがいていた。
背後からイリヤはひとりの男の頸に手をまわすなり、腎臓に鋭い突きを入れた。そいつは苦痛の叫びを洩らすなり、ぐったりとなった。ソロは相手の足首をつかむなり鋭くひねり、そいつがよろめいたすきに跳ねおきた。
大理石の上に点々とつづく赤い血だけがいましがた終った短い乱斗の名残りを示していた。 |