スイスのメグレと称されるベテラン刑事

SWI ヤーコプ・シュトゥーダー刑事
(Wachtmeister Jacob Studer)

狂気の王国
「狂気の王国」
(1936年)
(作品社)

 ドイツ語圏のミステリーの先駆者と評価されているフリードリヒ・グラウザーの生み出した警察官探偵。

 スイスのベルン州警察所属の、あと6年で定年退職を迎え年金生活に入るというベテラン刑事で、元はれっきとした警部でしたが、ある事件をきっかけに警部を免職になってしまい、現在は平の巡査からやり直している最中です。家族は老妻と結婚適齢期の娘が一人います。

 その容貌は少し猫背気味で中年太りのせいか腹がせり出していて、くたびれた中折れ帽子を被りいつもコートを身にまとっています。安葉巻のブリッサゴを愛用しておりいつも手放さず、顔には剛そうな口髭をたくわえていますが、そこにはどこか人生に疲れたような表情が刻まれています。

 もっとも犯罪学の理論と実践にかけては、青年時代にオーストリアのグラーツ大学の犯罪学の泰斗、ハンス・グロース博士より”直々の薫陶を受けた”ということもあってか、国際犯罪学会議のスイス代表クラスの実力を備えていると言われています。

クロック商会
「クロック商会」
(1937年)
(作品社)

 彼の探偵法は物的な証拠をかき集めたり、犯人の残した犯跡を嗅ぎまわるというよりは、むしろ心に精通して事件を解決するという心理学的な捜査方法を多く用い、この点はジョルジュ・シムノンのメグレ警部を彷彿とさせるものがあります。

 シュトゥーダー刑事シリーズが”スイスのメグレ”と評される所以は、まさしくこんな所にあるのだと想像されます。


■原作■

フリードリヒ・グラウザー
(Friedrich Glauser スイス 1896-1938)


■人物ファイル■

職業
スイス・ベルン州捜査警察刑事
家族
老妻と結婚適齢期の娘が一人いる
愛用品
くたびれた中折れ帽子にコート
安葉巻のブリッサゴ
事件簿
5長編1短編集に登場

■事件ファイル■

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Schlumpf Erwin Mord (Wachtmeister Studer)
(シュトゥーダー刑事)
1935 -
2 砂漠の千里眼 作品社('00)
3 狂気の王国 1936 作品社('98)
4 クロック商会 1937 作品社('99)
5 Der Chinese. Wachtmeister Studers dritter Fall
(中国人)
1938 -

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 シュトゥーダー刑事最初の事件 -

【邦訳短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 シュトゥーダー刑事と持ち去られた死体 ジャーロ'02冬(3-1)

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