出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
1076 |
メキシコ、マサトランの海上。屋根つきのボートには4人の釣り人が乗っていた。のどかで、気持のいい日和だった。赤毛の女オリアリィはキャビンでビールを飲んでいた。そのとき、なんの音もたてずに大きな影がボートの上を飛びこえた。そのとたん、いきなりものすごい熱気、そしてつぎの瞬間あたり一面が火の海と化した。オリアリィが海に飛びこんだ刹那、つづいて燃料タンクが爆発し、巨大な火柱が立ち、ボートの破片が長いこと雨のように降りつづけた……。
ラテン・アメリカ諸国では、ここ数年来反米意識が高まっていた。この時期に敵側の反米工作に好餌をあたえてはならない。つまり、円盤にUS空軍マークがついていたり、殺人光線が放射されてメキシコ人を殺害したというようなオリアリィの話は封じなければならないのだ。 急遽マット・ヘルムにM機関から下された命令は、”謎の円盤事件”の目撃者オリアリィをメキシコ国外に連れ出すことだった。が、すでに共産側は、腕利きの殺し屋優秀なスパイを次々と送りこみ、反米工作にとりかかっている。マットの行動は分秒を争う、しかし、マットが女のいるホテルに踏みこんだとき、そこに発見したのは……? 鉄の意志を持つ、非常な諜報部員マット・ヘルムと精鋭な敵スパイ網の間に展開する、苛烈なスパイ戦! |