出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
246 |
計画は完璧だった。あと一時間もすれば、ウォルター・クレーンを乗せた車は谷底へとまっさかさまに転落し、その死因を疑う者は誰もいないだろう。 クレーンと会うのは三年ぶりだった。その頃、マーシャは、パームスプリングスの賭博場所有者で遊び人のエディ・ハッセンの情婦で、クレーンとはエディと三人でよく遊び歩いていた。マーシャはエディの店で、鉱山主の今の夫、デニス・フィルモアと出会い、エディが自動車事故で死んだ後、結婚したのだった。 エディの死は事故として処理された。保険金もおりた。だが、今、マーシャの目の前に表われたクレーンは、いわくありげに、エディの死を話題にした。もしこのことが、自分の過去がデニスに知れたら……。クレーンを生かしておくわけにはいかない。マーシャは彼を、今は使っていないフィルモア家の山荘へと案内した……。アリバイ作りに街に戻ったマーシャのもとにやがて、クレーンの死の報せが届いた。が、死因は意外にも、自動車事故ではなく、アイスピックによる刺殺だった! マーシャではない。では、一体誰が? 折しも、街には盲目の探偵ダンカン・マクレーンが逗留しており、事件の捜査に乗り出すことになった。盲人探偵と稀代の悪女の対決がはじまったが─。 アーネスト・ブラマのマックス・カラドスと並ぶ盲人探偵、ダンカン・マクレーン登場。カラドスのような奇蹟的異常能力をもたず、あくまでも実際的な納得のゆく盲人の特殊能力だけをもとにした、純粋推理の醍醐味! |