カシノ殺人事件 タイトル

カシノ殺人事件

原題

The Casino Murder Case

発表年

1934

著者/訳者

ヴァン・ダイン/井上勇

カバーデザイン

イラスト 桶本康文/デザイン 小倉敏夫

ページ数

279
作品レビュー

あらすじ(解説文)

出版

東京創元社
創元推理文庫103-8
毒殺されたはずの被害者の胃から、なぜか毒物が検出されない。そうかと思うと、ただの水を飲んだはずなのに、次々と倒れる人たち……!? H2Oのモチーフを頼りにファイロ・ヴァンスは、D2Oに辿り着いた。重水にははたして毒性があるのか? カシノのルーレットの輪のように旋回を続ける事件は、一発の銃声とともに、ピタリとその回転を止めて、全貌を白日のもとにさらけ出す。

初版

1960年

重版

1996年30版(480円)

入手

セブンアンドワイicon amazon

ISBN

4-488-10308-1

【感想】★★★

 ヴァン・ダインの第8長編。後期6作品というのはあまり高い評価を得ていないものが多いようですが、本作は出来栄えとしては水準作といった所でしょうか。相変わらず話は面白いですし、トリックも成る程という部分もありそこそこ楽しめました。

 冒頭のヴァンスに対し送られてきた手紙も興味をそそりますし、その後カシノを舞台に起きる最初の事件発生のシーンがとても強烈な印象を残します。
 犯人とトリックは決して難しくはなくちょっとバレバレのような気がしましたが(私も相当早い段階で展開が読めてしまいました)、いろいろと複雑に込み入った物語構成がなされ、また偽の手がかりも結構たくさん張り巡らされてあるので、そうなのかなとは思いつつも、最後まで緊張感を持って読み進められます。このあたりはヴァン・ダインの文章の上手さのせいなのでしょう。

 今回も相変わらずヴァンスが薀蓄を語る部分はたくさんありますが、いつもに比べれば控え目な感じです。毒薬についていろいろと語られはしますが、知識がないからといってついていけない部分もないと思います。
 またラストはかなり緊迫する展開となりますが、これもただただヴァンスの手並みの素晴しさばかりが際立ちました。本当に頼れる名探偵で安心して見ていられます。