出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
1356 |
巨大なシャベル付きのクレーン車は大学の一画を占める美しい庭園にはいかにも似合わなかった。生え揃った芝生を掘り返しながら進み、怪物の口のような掴み器が今はずされたばかりのブロンズの裸身像の台座を呑む。五年前にオーストリアで雪崩に遭って行方不明になった前学長ミス・ガーリングを記念したものだった。多くの教職員と学生が見守るなか、クレーンは台座を引き揚げた……そのとき、土くれとともに落ちてきたものがあった。そのひとつが何かに気づいた見物人から絶叫があがった。地上に落ちたそれは、虚ろな目で歯をむいて笑う頭蓋骨だった!
ホーム・コールトラム学芸大学には、白骨死体などなくても充分すぎる問題があった。学校の拡張計画、講師と女子学生のスキャンダル、そして自治会長フラニー・ルートを中心とした学生たちの反抗と道徳的退廃。大学出身のパスコー部長刑事ならいざ知らず、ダルジール警視には納得できなかった。知性の象徴たるべき大学の内実がこのようなものだとは。だが、やがてスキャンダルの渦中にあった女子学生の死体が発見されると、埋められた白骨の謎は再び現在に蘇り、ダルジールの推理で白日のもとにさらけ出されることになった!
コリン・デクスターと覇を競う新・本格派の雄。英国ミステリの伝統に現代風俗を見事に生かした評判作。 |