【感想】★★★
ソーンダイク博士の長編でははじめて読んだものですが、短編に劣らずなかなかのものでした。トリックが盲点といいますか、意表を突いたもので、なかなか興味深かったことが特に印象に残っています。そういえば江戸川乱歩の作品にもこんなトリックの作品がありますが、一人二役などと同様、そういうトリックがあることを知っていても、なかなか当てられるものではないと思います。要はいかにそれを上手く読者に気づかせないという、作家の技量次第で傑作にも駄作にもなるということでしょう。
もうこの長編が出た頃はすでにアガサ・クリスティーやF・W・クロフツなどの黄金時代の巨匠がデビューしている訳ですが、フリーマンの長編も本格ものとして存分に楽しむことができると思います。ただ物語としては、若干盛り上がりに欠けるようなそんな印象もあります。ぐいぐいと引き込まれるような、そんな話の展開になっていないのがちょっと残念ではありますね。
個人的にもう一つ印象に残っているのが、助手のポルトンの大活躍でした。普段はジャービス医師の方がいろいろな意味で目立つことが多く、ポルトンはどちらかというと地味な職人という感じの役割ですが、今回は見せ場も多く彼の人となりや人間像をよく知ることができる作品です。そしてソーンダイク博士にとってポルトンがいかに役に立つ欠かせない右腕のような存在かということも分かります
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