ダーブレイの秘密 タイトル

ダーブレイの秘密

原題

The D'arblay Mystery

発表年

1926

著者/訳者/解説

オースティン・フリーマン/中桐雅夫/都筑道夫

カバーデザイン

勝呂忠

ページ数

220(巻末にフリーマンの探偵小説の著作リスト)
作品レビュー

あらすじ(解説文)

出版

早川書房
ハヤカワポケットミステリ
340
スティーヴン・グレイは初秋の陽当たりのいいハイゲイトのウッド・レーンを、陽気な気分で歩いていた。一方のポケットには研究資料にする微生物の採集管を、一方のポケットにはスケッチブックをたずさえての遠足だった。『墓底の森』に踏み入って、間もなく、彼は一人の美しい女が、何かを探しているように、草むらの中をすかして見ているのに出会った。彼は遠慮して女の横を素通りしながらも、心を誘かれずにはいられなかった。だが! それから間もなく、彼は、森の沼地に殺された男の死体を見つけたのだった!

初版

1957年

重版

1998年再版(1000円)

入手

セブンアンドワイicon amazon

ISBN

4-15-000340-8

【感想】★★★

 ソーンダイク博士の長編でははじめて読んだものですが、短編に劣らずなかなかのものでした。トリックが盲点といいますか、意表を突いたもので、なかなか興味深かったことが特に印象に残っています。そういえば江戸川乱歩の作品にもこんなトリックの作品がありますが、一人二役などと同様、そういうトリックがあることを知っていても、なかなか当てられるものではないと思います。要はいかにそれを上手く読者に気づかせないという、作家の技量次第で傑作にも駄作にもなるということでしょう。

 もうこの長編が出た頃はすでにアガサ・クリスティーやF・W・クロフツなどの黄金時代の巨匠がデビューしている訳ですが、フリーマンの長編も本格ものとして存分に楽しむことができると思います。ただ物語としては、若干盛り上がりに欠けるようなそんな印象もあります。ぐいぐいと引き込まれるような、そんな話の展開になっていないのがちょっと残念ではありますね。

 個人的にもう一つ印象に残っているのが、助手のポルトンの大活躍でした。普段はジャービス医師の方がいろいろな意味で目立つことが多く、ポルトンはどちらかというと地味な職人という感じの役割ですが、今回は見せ場も多く彼の人となりや人間像をよく知ることができる作品です。そしてソーンダイク博士にとってポルトンがいかに役に立つ欠かせない右腕のような存在かということも分かります