出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
1041 |
いきなり、はじかれたように、チャーリーは寝室へ走った。だが、鍵が見つからない。とっさに彼は、そばにあったソファをドアに押しつけた。追っ手の足を鈍らすためだ。すぐ室内の灯りを消すと、通りに面した窓に突進した。両脚をあげて窓枠に腰を下ろしたときはやくも背後でドアがぶち開けられる音が聞こえた。彼はあわてて、窓下にあった木製の突き出しの上にとび降りた。と、板がきしんだと思うや、彼の体はがらがらと10フィート下の地面に転げ落ちた。ぐずぐずしていたら間違いなく殺されてしまう─そう思ったチャーリーは顔面をひきつらせながら立ち上ると、夜の闇の中に突っ込んでいった……
チャーリーは走りながら、店をもっとはやく閉めればこんな事にはならなかったと、ほぞを噛む思いだった。丁度店を閉めようとしたとき組織(シンジケート)の二人組がチャーリーを殺しにやってきたのだ。何のために殺されるのか、まったく身に覚えのないチャーリーは、何かの誤解だと言い張ったが、聞き容れられなかった。そこで危機一髪、この難を逃れると、組織の幹部である伯父のところへ事情を聞き出すため一目散に駆け出したのだが……
逃げるチャーリー、追いかける殺し屋─その追いかけっこの背後にひそむ奇妙なカラクリを軽妙に描く! |