USA ローレンス・G・ブロックマン
(Lawrence Goldtree Blochman)

美酒ミステリー傑作選
「美酒ミステリー傑作選」
(河出書房新社)

 主に短編の分野で優れた作品を残したアメリカの小説家。

 警察まわりの記者としてカリフォルニアの新聞社で働き、殺人事件を取材していましたが、その後東洋に憧れてインドへと向かいます。
そしてカルカッタの〈イングリッシュマン〉紙の記者兼カメラマンとしてインド各地を飛び回り、その後中国や日本にもジャーナリストとして派遣されたといいます。

 他方そんな多忙な仕事の傍ら小説の執筆にも打ち込み、パルプ・マガジンに短編を寄稿。やがて1934年に「Bombay Mail」で長編デビューも果たしますが、この時舞台となったのは、自身が憧れ、活躍したインドのボンベイでした。

 彼の作家としての名声を高めたのは、シャーロック・ホームズのライヴァルとして、そして科学探偵の元祖としてミステリ史上に名を残したR・オースチン・フリーマンのソーンダイク博士の後継者と目される、病理学者のコフィー博士の活躍する一連の短編シリーズで、現代医学と科学捜査を見事に結合させた好シリーズとして〈コリアーズ〉誌に10年以上にわたって連載されて人気を集めたといいます。

密室殺人傑作選
「密室殺人傑作選」
(1968年)
(早川書房)

 そしてコフィー博士の活躍は2冊の短編集にまとめられ、1950年発表の第1短編集「診断は他殺(Diagnosis: Homicide)」はクイーンの定員にも選ばれています。

 他にノンシリーズ短編である「赤ワイン」が、アンソロジーにも多数採られている定番作品としてよく知られています。


■作家ファイル■

出身地
アメリカ、サンディエゴ
学歴
南カリフォルニア大学バークレー校卒
生没
1900年2月17日~1975年1月
作家としての経歴
1934
インドを舞台にした「Bombay Mail」で長編デビュー
1950
コフィー博士の活躍する第1短編集「診断は他殺(Diagnosis: Homicide)」を刊行
シリーズ探偵
ダニエル・ウェブスター・コフィー博士 (Dr. Daniel Webster Coffee)
レオニダス・プライク警部 (Inspector Leonidas Prike)
代表作
「なまず物語」「ディナーにラム酒を」(短編)
「赤ワイン」(短編)

■著作リスト■

1 ダニエル・ウェブスター・コフィー博士登場作品リスト

2 レオニダス・プライク警部登場作品リスト

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Bombay Mail 1934 - デビュー作
2 Bengal Fire 1937 -
3 Red Snow at Darjeeling 1938 -

3 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Midnight Sailing 1938 -
2 Blow-Down 1939 -
3 Wives to Burn 1940 -
4 See You at the Morgue 1941 -
5 Pursuit
(英 Menace)
1951 -
6 Rather Cool for Mayhem -

【中編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Death-Walks in Marble Halls 1951 - 表題中編のみ所収

【その他の中短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 The Aldine Folio Murders
アルドゥス版殺人事件
1940 白水社「書痴談義」('83)
2 執行猶予 1968 早川文庫277-1「密室殺人傑作選」('03)
HPB1161「密室殺人傑作選」
HMM'71.4
3 イニシャル入り殺人 創元推理文庫104-24「ミニ・ミステリ傑作選」('75)
4 赤ワイン
(赤葡萄酒)
河出文庫「美酒ミステリー傑作選」('90)
大和書房「冷えたギムレットのように」('83)
EQ'82.7
新青年'37秋季増刊
5 バーカンディーの唇を持った女 東京創元社「アメリカ探偵作家クラブ傑作選1」('61) マーシャル・T・カスター
6 The Dog That Wouldn't Talk
しゃべらない犬
大和書房「ブロードウェイの探偵犬」('84)
7 Mrs. MacBeth
マクベス夫人
EQMM'57.10
8 Deep-Sea Sleuth
洋上の惨劇
新青年'39夏季増刊
9 危険な贈物 探偵倶楽部'58.3 原題不明

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