UK キャロライン・グレアム
(Caroline Graham)

蘭の告発
「蘭の告発」
(1987年)
(角川書店)

 イギリスの女性小説家。地元の高校を卒業の後海軍女性部隊に入隊し、除隊後は結婚相談所を開設。1953年に結婚しますが、それを契機にパリに留学して舞踏学校で学びプロダンサーとして活躍するようになります。

 その後舞台女優としても活躍した彼女でしたが、夫の病気などもありやがて一線を退きます。そして1970年に息子が誕生したのを契機に物書きを志すようになり、最初はフリーランスのジャーナリストとしてBBCやラジオ・ロンドンなどで働き、1975年からは舞台の演出やラジオやTV向けの台本などを手がけるようになります。

 1982年になると初の小説を発表し作家デビューも果たしますが、その時発表された「Fire Dance」という作品はハーレクイン風のロマンス小説だったようで、残念ながらあまり評価は芳しくなかったようです。

 その後1984年には、第2長編を発表。1985年には児童向けの小説も書いたりしていましたが、そんな彼女の作品が一躍注目を集めるようになったのは、1987年に発表し、マカヴィティ賞も受賞したミステリ長編「蘭の告発」からでした。

うつろな男の死
「うつろな男の死」
(1989年)
(東京創元社)

 この作品では、イングランド中部の小さな村の警察に身を置き、刑事生活30年で庭いじりが趣味という温厚なバーナビー警部とその部下でそそっかしい所のあるトロイ部長刑事のコンビが活躍する、犯人当てが中心のイギリスミステリの典型ともいえるヴィレッジ・フーダニットですが、これに現代風の題材を持ち込み、また卓越した人物描写と風刺の効いたユーモア感覚で読者を楽しませてくれます。

 この作品で一躍有名となった彼女は、以後はバーナビー警部とトロイ部長刑事のコンビが活躍する作品をシリーズとして発表し続け、このシリーズは本国イギリスでは1997年よりTVドラマ化もされて好評を博しています。

 わが国でも初期の2作品が邦訳され、またドラマの方も2002年にNHKのBS2で放送され、またDVDも発売されています。


■作家ファイル■

出身地
イギリス、ウォリックシャー州ナンイートン
生没
1931年7月17日~
作家としての経歴
1982
長編「Fire Dance」がコリンズ社のハーレクイン風のロマンス叢書の一冊として刊行される
1987
バーナビー警部の初登場作品「蘭の告発」を刊行し、マカヴィティ賞の最優秀処女長編賞を受賞
1997
イギリスのITVで海外TVドラマシリーズ「バーナビー警部」の放映が開始
シリーズ探偵
トム・バーナビー警部 (Chief Inspector Barnaby)&その部下のギャビン・トロイ部長刑事 (Sergeant Troy)
代表作
「蘭の告発」
「うつろな男の死」

■著作リスト■

1 バーナビー警部登場作品リスト

2 その他の作品

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 Fire Dance 1982 - グレアムのデビュー作
ロマンス小説
2 The Envy of the Stranger 1984 - 犯罪小説
3 Murder at Madingley Grange 1990 -

【児童書】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
1 BMX Star Rider 1985 -
2 BMX'ers Battle It Out! -

【参考】「うつろな男の死」(東京創元社 創元推理文庫)
「蘭の告発」(角川書店 角川文庫)
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