出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
1219 |
事の遠い始まりは、サン・アントニオ警視の部下デブことベリュリエ警部が射的場でものの見事に海泡石のパイプを射当てたことだった。以来ベリュリエは大のパイプ党に変身したが、そんなある日、二人は何気なく立ち寄ったある警察署で、取調べを受けている最中のオランダ人に会った。オランダ人はヴァン・クノッセンといい、妻とバリのホテルに投宿していたが、今朝その妻が睡眠薬一びんをあおって瀕死の状態で発見された。この事件には不審な点が多かったが、夫のクノッセンは外国人であることを盾にまったく非協力的だった。そのとき、丁度パイプの煙草を切らしていたベリュリエ警部が、相手の制止よりも早くオランダ人の巻たばこを取り、巻紙をはがし中味を取り出した。と、巻紙の裏に細い筆で書かれた住所のようなものが読めた。妻殺し以上の犯罪を嗅ぎつけた警察のクノッセンに対する追求は急に強まった。だが、オランダ人は巻たばこの謎を明かす前に、隠し持ったピストルで自殺を遂げてしまった。何やら大掛りな犯罪の動きを察知したサン・アントニオ警視は、唯一の手掛り、巻たばこの文字を追ってベリュリエ警部ともどもオランダに飛んだが……。洒落や地口がぽんぽん飛び出すスピーディーな語り口と痛快なアクションでメグレ以上の人気をもつ、フランス超人警官サン・アントニオ・シリーズ第1弾! |