出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
1009 |
ニューヨーク郊外のファイア島。時刻は正午近く。紺色の海水パンツをはいた一人の男─フランク・ラウフナウァーは、スキン・ダイビングの道具一式を抱えて、ゆっくり海辺の方へ歩いていき、時間をかけて岸辺の様子を観察した。
砂の上に膝をつき、小さな筏を圧縮ガスで膨らまし、短いカイで海上に乗り出した。ある地点まで来ると、呼吸を整えて海中に飛び込んだ。マスクをつけた顔を水面にあげ、もう一度だけ遠くの岸辺を見渡して方角を確かめ、それから、水深100フィート以上の海底へと潜っていった。
海底近くで十分間ほど泳いでいた。いろんな種類の魚、蟹、貝類、腐りかけた丸太などが目に入ってくる。……かくして、ようやく捜査の9日目にして、異様な暗黒の物体が彼の目の前に立ち塞がったのだ。幅の狭い黒色の物体。沈没船、しかも潜水艦だった。第一次大戦で活躍したUボート、フランク自身若いときこの潜水艦の乗組員の一人だったのだ。そして今、彼はこの潜水艦を引き揚げ、世界一の豪華客船クイーン・メリー号襲撃という、とてつもない犯罪を目論んでいたのである!
一隻の潜水艦で、果たしてクイーン・メリー号襲撃なるか? 異色作家ジャック・フィニイが大掛かりな海の犯罪を描く、ファン待望の傑作クライム・ノヴェル! |