出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
634 |
ロンドンのレコード新聞の記者、ヒュー・カーティスが、ランドン事件に携わるようになったのは、ほんの偶然にすぎなかった。その日曜日は、まったく事件がなかった。勤務時間が終る15分前に、問題のニュースが入ったとき、ヒューは帰り支度をはじめていた。が、そのニュースにしても、はじめは興味をひかなかった。何者かがクララ・ウォーという女性に、彼女の父親が自動車事故に遭ったと電話で知らせたのだ。しかし、クララが病院にかけつけてみると、父親の姿がない。偽電話─ヒューはそう思ったのだが、取材のため、パーマーズ・ロードにある女の家に行ってみた。と、家の前には、二人の警官が乗ったパトロール・カーが駐まっているではないか。そして、ヒューが偽電話の一件を警官の一人に話すと、その警官はいきなりドアをこじ開けて、家の中に飛び込んで行った。だが、部屋には誰もいなかった。裏のドアはガラスが壊されて、破片が床に飛び散っている。この光景を見て、警官は大声で叫んだ。「ランドン!」
ヒュー・カーティスはあっと思った。それも道理、アーサー・ランドンは、軍需省で機密の研究に携わる物理学者だったのだ。その彼が、娘のクララを訪ねたまま、謎の失踪を遂げた! しかも、間もなく彼の身代金を要求する脅迫状が、軍需省に舞い込んだのだ!
名手アンドリュウ・ガーヴがソマーズの別名で発表する期待のサスペンス・スリラー! |