出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
633 |
イギリス人マイク・コンウエイは愛用のヨットを唯一の棲家とし、大洋を気ままに放浪している文字通りのヨットマンであった。だが、食料や燃料を積み込むために立ち寄ったガーナ共和国の首都アクラの港で、不意に襲った嵐のためにヨットは難破してしまったのだ。この無残な光景に、彼は声もなかった。一瞬にして全財産を失ってしまったマイクは、どうせ遭難するならもう少し快適な土地でと思ったが、今となってはそのような身勝手もいってはいられなかった。明日からでもこの熱さと悪臭に満ちた港町で職を探さねばならないのだ。が、運のいいことに、願ってもない仕事の口がかかってきた。イギリスの植民地スパイロス島の独立運動の指導者で、数ヵ月前、英国人の手に逮捕され、インド洋の孤島に幽閉されているアレグザンダー・カステラを助け出す仕事だった。この仕事をコンウエイに依頼したのは、スパイロス出身の大富豪だった。彼は金に糸目をつけなかった。現金二万ドルとヨット一艘がそのための報酬だった。無一文のコンウエイは、即座にこの仕事にとびついた。かくて彼は、その富豪が助手としてよこした、カステラを崇拝する美しい女性レアンダとともに、ヨットをかって孤島ユルーズ島に向かったのだ! 大洋を渡るヨットを舞台に現代世界を諷刺する、ガーヴならではのサスペンス・スリラーの傑作。 |