Ｊ・Ｊ・コニントン
(J. J. Connington)

　イギリスの本格ミステリー作家で、本業は化学者として活躍していた人物です。またＳＦ小説もいくつか発表しているそうです。

　スコットランド南西部のグラスゴーに生まれ、神学教授を父に三人兄弟の末っ子として育てられ、やがてグラスゴー大学に進学して化学を専攻、ドイツのマールブルク大学やロンドン大学で学んだ後母校やベルファストのクイーンズ大学で教鞭を執りました。第一次大戦中は海軍に協力した他、クイーン大学では高電圧装置を利用した科学実験などにも従事していたそうです。

　ミステリ作品はそんな本業である大学教授の仕事の合間を縫って書かれたもので、ちょうど本格ミステリ黄金時代の真っ只中の1926年に最初の長編「或る豪邸主の死」が発表されて以来、1947年までに主にクリントン・ドリフィールド卿の活躍するシリーズを中心に全部で24作品が刊行されています。

　邦訳は戦前に２冊がなされたきりで、本格マニアの間でいわば伝説的な作家としてその名が知られている程度でしたが、近年のクラシック・ミステリ翻訳ブームに乗って、デビュー長編「或る豪邸主の死」が翻訳されました。エラリー・クイーンに先駆ける〈読者への挑戦状〉が挿入された作品は今再び脚光を集め始めています。