出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
1470 |
事件後ふた月もたっているのに、今ころ殺人だなどと騒ぎ始めたのは、リンカーンズ・イン法曹学院きっての粗忽者、女弁護士のジュリアだった。
事件とは、富豪レミントン=フィスク卿の孫ディアドリの転落死。ボートレース観戦のために一族が会したフラットから、真っ逆様に落ちたのだ。酔いによる事故、または理由不明の自殺と警察は結論を下していた。
その数ヶ月前、法曹学院の弁護士達は卿の遺産相続に関わっていた。ジュリアが騒ぎ出したのは、来たことも忘れていたディアドリの手紙を読んだからだった。内容は、興味深いことを発見したのでレース後に会いたい、と妙に秘密めいていた。しかも、問題のフラットは誤って落ちるような造りではなかった。かくて名探偵の誉高いテイマー教授出馬となったが……。
そんな時だった。イオニア海を帆走中の、ディアドリの従姉カミーラが危うく溺死を免れたというニュースが飛び込んできた。たまたまかの地を訪れていた法曹学院のメンバー、セリーナからは、不審な遭難の詳細を伝える手紙が次々と舞い込んでくる。女相続人達を襲った”事故”の真相を探るテイマー教授の名推理とは?
デビュー作『かくてアドニスは殺された』で好評を得た著者が満を持して贈る第二作。ギリシャ神話をとりこんだ巧緻な筋立てと軽妙洒脱な会話が冴える本格傑作! |