出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
1157 |
ビリーは、ジョニーのラジオを毀してしまった。彼が愛し、彼を愛してくれたラジオを毀してしまった。凍ったような、おそろしいまでの冷静さで、ジョニーは復讐を決意した。相手は大きく力も強い。だが、人をこばかにしたような笑いを浮べた相手に、あやまらせなければならない。名誉を回復せねばならない─ジョニーは、父親の銃を持ちビリーの家へ向った。夜のしじまを破る爆発音。窓ガラスがこなごなにくだけた。瞬間、ジョニーの一途な気持は、くずれ去り、頭のなかに警官の姿がよぎった。逃げなければ……。
恐怖を胸に逃げるジョニーは、夜道で、四人の黒人少年に呼び止められた。脇から腕をつかまれた時、ジョニーは手に大きな衝撃を受けた。凄まじい轟音、目の前の一人が、腹をおさえてうずくまった。ジョニーは立ちすくみ、銃のやったことを見守った。自分がやったのではない─ただ銃が、生きている、恐ろしいものが……。
貧しい家庭に育ち、勇気と誇りを教えられたジョニーは罪の意識と葛藤で、錯乱し、追いつめられていく。震える少年の手の中で、銃は一人生きはじめた……。
九歳の子供による、黒人少年殺害事件! 追いつめられた少年の心理を知り、この一刻を争う事件に立ち向う黒人刑事ヴァージル・ティッブス。ジョン・ボールの好評シリーズ第3弾! ティッブス刑事久々の登場。 |