四十の顔を持つ男

USA 四十面相のクリーク
(Hamilton Cleek)

謎の四十面相
「謎の四十面相」
(1913年)
(ポプラ社)

 アメリカの大衆作家トマス・ハンシューが生み出した、1910年代初期に一世を風靡した、ゴムのような変幻自在の顔を持ち、神出鬼没の冒険活劇の主人公。

 ディクスン・カーも愛読していたといい、戦前の日本でも紹介されていて、新青年の創刊2年目の愛読者人気投票でもソーンダイク博士やデュパンを抑え、ホームズ、ルパンに次いで3位に入るほどだったといいます。 そして江戸川乱歩の怪人二十面相のモデルにもなったキャラクターです。

 元は東欧の小国モールヴァニアの女王カルマとイギリス人貴族との間に生れた王子でしたが、女王はこの道ならぬ恋のため王位を剥奪されてクリークと二人の姫を連れてフランスへと逃れます。その後モールヴァニアでは伯父のスフォルツァ大公が即位し、女王はパリで窮乏の中亡くなり妹たちとも生き別れになります。

 こうした悲運が重なる中やがて現実を呪い盗みを覚え、悪の道へと突き進んで行きます。浮浪児ドロップスを手下に”アパッシュの女王”こと女賊マルゴと組んで英仏を股にかけて盗みを働きます。

 その犯行方法は大胆にも新聞紙上に犯行の日時・場所を予告し、犯行の翌日盗品の一部をロンドン警視庁に送りつけるのです。顔の筋肉を自由に動かして変装道具を用いずに他人に化けることができ、「四十面相の男」と呼ばれ恐れられています。

 しかしある日大貴族の美しい娘エルザを襲った時、彼女の気品と麗容さに心打たれ改悛し、悪事をやめて探偵に転向。以後は敵役であったロンドン警視庁のナーコム警視総監のお助け名探偵として活躍するのです。

シャーロック・ホームズのライヴァルたち2
「シャーロック・ホームズの
ライヴァルたち2」
(早川書房)

■原作■

トマス・W・ハンシュー
(Thomas W. Hanshew 米 1857-1914)


■人物ファイル■

家族
東欧の小国モールヴァニアの女王カルマとイギリス人貴族との間に生れる
生き別れになった妹が二人いる
特技
変装
協力者
手下の浮浪児ドロップス
”アパッシュの女王”こと女賊マルゴ
ライヴァル
ロンドン警視庁のナーコム警視総監
事件簿
1短編集と連作長編が数編、未収録短編が2編

■事件ファイル■

【長編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
謎の四十面相
(四十面相のクリーク)
1913 ポプラ社 ジュニア世界ミステリー9(児童書)('68)
博文館文庫65「天国の門」('39)
博文館 世界探偵小説全集12「フリイマン集」('30)
博文館 探偵傑作叢書10「消える男」('21)
短編集1を連作長編に書き直したもの
邦訳は全て抄訳
Cleek of Scotland Yard 1914 - 8編の連作長編
The Riddle of the Night 1915 - ハンシューの覚書に基づく妻と娘の合作
Cleek's Greatest Riddles
(米 Cleek's Government Cases)
1916 - 8編の連作長編
The Riddle of the Purple Emperor 1918 - メアリー・E・ハンシュー&トマス・W・ハンシュー名義
6のみ妻メアリーと娘ヘイゼル・フィリップスの合作
それ以外は娘の作
8は連作長編
The Frozen Flame
(The Riddle fo the Frozen Flame)
1920 -
The Riddle of the Mysterious Light 1921 -
The House of Discord
(The Riddle of the Spining Wheel)
1922 -
The Amber Junk
(The Riddle of the Amber Ship)
1924 -
10 The House of the Sveven Keys 1925 -

【短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
The Man of the Forty Faces
(Cleek, the Master Detective)
(四十の顔を持つ男)
1910 - クイーンの定員45
1 天国の門
(消える男)
博文館文庫65「天国の門」('39)
博文館 世界探偵小説全集12「フリイマン集」('30)
博文館 探偵傑作叢書10「消える男」('21)
新青年'22.2増刊
2 赤い蠍 博文館文庫65「天国の門」('39)
博文館 世界探偵小説全集12「フリイマン集」('30)
博文館 探偵傑作叢書10「消える男」('21)
3 The Riddle of the Sacred Son -
4 The Caliph's Daughter
木乃伊の函
博文館文庫65「天国の門」('39)
博文館 探偵傑作叢書10「消える男」('21)
5 六本の指 博文館文庫65「天国の門」('39)
博文館 世界探偵小説全集12「フリイマン集」('30)
博文館 探偵傑作叢書10「消える男」('21)
新青年'22.8増刊
6 The Wizard's Belt
魔法の帯
博文館文庫65「天国の門」('39)
博文館 探偵傑作叢書10「消える男」('21)
7 The Riddle of the 5:28 -
8 ライオンの微笑
(獅子の顎)
早川文庫87-2「シャーロック・ホームズのライヴァルたち2」('83)
博文館文庫65「天国の門」('39)
博文館 世界探偵小説全集12「フリイマン集」('30)
博文館 探偵傑作叢書10「消える男」('21)
HMM'83.3
別冊宝石79('58)
新青年'22.4春季増大
9 The Mystery of the Steel Room
鋼鉄の部屋の秘密
別冊宝石73('58)
10 The Riddle of the Siva Stones -
11 The Divided House
四十面相のクリーク
小説推理'73.5
12 虹の真珠 HPB252「名探偵登場3」('56)
博文館文庫65「天国の門」('39)
博文館 世界探偵小説全集12「フリイマン集」('30)
博文館 探偵傑作叢書10「消える男」('21)

【日本で独自編纂の短編集】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
消える男 1921 博文館 探偵傑作叢書10 短編集1の1,5,2,8,12,6,4と「見えぬ護手」の全8編
ハンシヨウ集 1930 博文館 世界探偵小説全集12「フリイマン集」 「消える男」から「魔法の帯」「木乃伊の函」を省いた全6編
天国の門 1939 博文館文庫65 「消える男」と同内容

【その他の邦訳短編】

No. 事件名 発表年 邦訳 備考
見えぬ護手 1910 博文館文庫65「天国の門」('39)
博文館 世界探偵小説全集12「フリイマン集」('30)
博文館 探偵傑作叢書10「消える男」('21)
長編1の一部分
Murder in an Empty House
空家の殺人
EQMM'62.7