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角川書店
角川文庫 赤535-1 |
真夜中になっても激しい雨が降り続いていた。グランモン行きの列車がこの小さな田舎駅で臨時停車をしなかったら、エイメ・マレイズ警部はこれほど奇妙な事件に遭遇しなかっただろう。
翌朝、一泊した旅籠を出てマレイズが駅前まで来ると、洋服屋の飾り窓が砕かれ、大騒ぎになっていた。マネキン人形が盗まれたらしい。こんな田舎町では稀有の出来事だった。しかもその人形は、心臓部にナイフを突き立てられ両眼をえぐられて線路上に横たえられていたのだ。明らかに轢断を計った殺害事件だ。マレイズの警察官としての本能は、この人形殺害の背後に陰湿な犯罪の匂いを嗅ぎとった。
本邦初の完全翻訳、S.A.ステーマンの長編本格推理の最高傑作! |