出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
163 |
作者アラン・グリーンはごく近年台頭した作家なので、私の手元の資料ではその略歴や著書目録が分からないが、この作風は、カーの最も諧謔味の強い作品『盲目の理髪師』に比ぶべきものである。古来、ユーモア探偵小説は数多いが、そういう作品に限って謎解きの論理性は極めて稀薄である。ところが、本書『道化者の死』は滑稽文学の要素と、本格探偵小説の要素とが、二つながら盛り込まれている点に特徴がある。この『道化者の死』は密室の殺人を取り扱っているし、もう一つの大きなトリックもちゃんと論理的に工夫されている。単なるユーモア探偵小説ではないのである。 (江戸川乱歩)
はじめから終りまで、馬鹿騒ぎに終始するような滑稽小説でありながら、しかもこの馬鹿騒ぎのうちにちゃんと伏線があり、脉絡があって、トリック探偵小説としても充分の面白味を持つ作品を、わたしはたった二つだけ知っていた。その一つはカーの『盲目の理髪師』であり、もう一つはアラン・グリーンの”What
a Body”である。ところがグリーンはこの前作についで、今また同じ特徴を持つ『道化者の死』を書いたのである。笑の神に祝福あれ! (アントニイ・バウチャー) |