黄色い部屋の謎 タイトル

黄色い部屋の謎

原題

Le Mystere De La Chambre Jaune
(英 The Mystery of the Yellow Room)

発表年

1907

著者/訳者/解説

ガストン・ルルー/宮崎嶺雄/中島河太郎

カバーデザイン

小倉敏夫

ページ数

379
作品レビュー

あらすじ(解説文)

出版

東京創元社
創元推理文庫108-1
本書は、心理的密室トリックと犯人の意外性により、推理小説史上の名作と称せられている。通称ぶな屋敷と呼ばれるスタンガースン博士邸の密閉された「黄色い部屋」の中で、血塗れになった令嬢が発見される、というショッキングな発端から、パリ警視庁の名探偵ラルサンと弱冠十八歳の青年記者ルールタビーユの推理合戦に至る息をもつかせぬサスペンスは、巻措く能わざる傑作である。

初版

1965年

重版

1997年68版(620円)

入手

セブンアンドワイicon amazon

ISBN

4-488-10801-6

【感想】★★★★

 古典的名作として有名な作品で、かなり期待して読み始めました。冒頭に謎が分りやすく提示され、二人の探偵の推理合戦を軸に物語が進んでゆく展開も分りやすく、中盤までは非常に良い感じで進んでいました。そして結末の謎解きにも驚愕しました。しかもこれが発表当時新聞連載で書かれていたというのですから驚きです。本格ミステリとしては名作の名にふさわしい仕上がりだと思います。

 その一方で作者ルルーの人物描写・心理描写がまずいせいか、作中に出てくる”捜査に非協力的な関係者”たちに対し、イライラしたと申しますか、どうも素直にに感情移入できませんでした。

 本格ものは確かに謎解きが中心の小説ですから、その部分がすぐれていればそれ以外は目をつぶってもいいと自分は思っていますが、そう思いつつもルルーの書くキャラクターたちにはあまり好感が持てず、また結末の意外性は充分ありますが、その後の後処理が私には何だか理解しがたい解決法と感じざるを得ませんでした。ということで満点をつけたい所ですが、万人受けはしないであろうという思いから上記の評価となっています。

 しかしルルーの人物描写の好き嫌いには個人差があるでしょうし、勿論、”本格”推理小説としては秀逸の出来栄えであり、また歴史的な観点からしても、長編の傑作の中では最も早い時期に発表され、後世の本格謎解き長編に大いに影響を与えたことは否定できない事実であり、そういう意味でもミステリファンにとっては基本書であり、必読の書であることには間違いないと思います。

 最後にルルーはこの作品をポオの「モルグ街の殺人」とドイルの「まだらの紐」の影響を受けて書いたと公言していますが、その言葉どおり、作品中に両者のネタバレがありますので、未読の方は要注意です。また創元推理文庫版の解説にも同様にネタバレがありますのでご注意を