チャイナ橙の謎 タイトル

チャイナ橙の謎

原題

The Chinese Orange Mystery

発表年

1934

著者/訳者/解説

エラリー・クイーン/井上勇/中島河太郎

カバーデザイン

辰巳四郎

ページ数

360
作品レビュー

あらすじ(解説文)

出版

東京創元社
創元推理文庫104-12
宝石と切手収集家として著名な出版業者の待合室で殺された、身元不明の男。 着衣をはじめとして、あらゆるものが、”さかさま”になっていた謎の条件とは何か?
「ニューヨーク・タイムズ」がクイーンの最大傑作と激賞したが、読者の判定は如何? 本格ものの巨匠が作り上げた密室殺人事件として、その卓抜な着想は、数多くある作品中でも特異の地位を占めるものとして定評がある。

初版

1960年

重版

1993年55版(500円)

入手

セブンアンドワイicon amazon

ISBN

4-488-10412-6

【感想】★★★★

 国名シリーズもいよいよ8作目で、この時期というのはアメリカではハメットなどのハードボイルドが台頭してきた頃で、そういったハードボイルドに対するライバル意識というのも垣間見える所が面白いですね。
 評価としては動機や密室トリックの必要性などは驚きはないものの妙に納得のいく感じです。普通はやはりこんなものではないでしょうか。そういったところはハードボイルドのリアリズムに触発されたともいえそうですが(笑)。

 何よりも一番良かったのは冒頭の全てがあべこべという奇妙な謎の提出でしょう。これは全国名シリーズを通じてもっとも面白かったです。ただ、その理由というのが少し我々には分かりづらいというのが難点ですが、それでも格段に良かったと思います。
 犯人も意外性があるとは感じられないものの、トリックなどから論理的に導くことができて私は好きでした。またクイーンの一人M・リーは切手収集が趣味だったそうですが、切手に関する薀蓄がいろいろと語られていて、興味深かったです。

 また、人物も今回は個性があり生き生きとしていたような気がします。特にいつもにもましてぼやきの多いクイーン警視が面白かったですし、クイーン家のマスコットのジューナも相変わらず楽しい雰囲気を作り上げてくれていました。

 全体的に驚きというのは少ないのですが、楽しい雰囲気が随所に見られて、また推理の部分もトリックに無理がなくまずまずだったのでかなり好印象を持った作品です。あまり重い題材や雰囲気というのがなくてイギリス本格みたいでした。