【感想】★★★★
国名シリーズもいよいよ8作目で、この時期というのはアメリカではハメットなどのハードボイルドが台頭してきた頃で、そういったハードボイルドに対するライバル意識というのも垣間見える所が面白いですね。
評価としては動機や密室トリックの必要性などは驚きはないものの妙に納得のいく感じです。普通はやはりこんなものではないでしょうか。そういったところはハードボイルドのリアリズムに触発されたともいえそうですが(笑)。
何よりも一番良かったのは冒頭の全てがあべこべという奇妙な謎の提出でしょう。これは全国名シリーズを通じてもっとも面白かったです。ただ、その理由というのが少し我々には分かりづらいというのが難点ですが、それでも格段に良かったと思います。
犯人も意外性があるとは感じられないものの、トリックなどから論理的に導くことができて私は好きでした。またクイーンの一人M・リーは切手収集が趣味だったそうですが、切手に関する薀蓄がいろいろと語られていて、興味深かったです。
また、人物も今回は個性があり生き生きとしていたような気がします。特にいつもにもましてぼやきの多いクイーン警視が面白かったですし、クイーン家のマスコットのジューナも相変わらず楽しい雰囲気を作り上げてくれていました。
全体的に驚きというのは少ないのですが、楽しい雰囲気が随所に見られて、また推理の部分もトリックに無理がなくまずまずだったのでかなり好印象を持った作品です。あまり重い題材や雰囲気というのがなくてイギリス本格みたいでした。
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