出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
223 |
ロビーは二階の寝室から、闇に沈んだ庭を見下ろした。いつもと変わらぬ静かなニースの夜だ。が、彼の鋭い眼は、じっと息をひそめているいくつかの影を見逃さなかった。警察がついに彼を捕まえにやってきたのだ! しかし、今捕まるわけにはいかない─意を決したロビーは、テラスから一気に跳躍し、信じられない身軽さで木を伝うと、闇の中に姿を消した……
かつて、その手口から”猫”とあだ名された宝石泥棒ジョン・ロビー。彼は一度捕えられたものの、戦時中のレジスタンス活動を認められて特赦となり、その後は足を洗って悠々自適の生活を送っていた。だが、今、彼は再び警察に追われていた。最近、”猫”とそっくり同じ手口の宝石盗難事件が相次ぎ、その嫌疑が彼にかけられたのだ。身に覚えはないものの、警察が彼の言葉を信じるはずがない。ロビーは、無実を証明するため、自分の手でにせ”猫”を捕えることを決意した。ちょうどカンヌには、アメリカの大金持、スティーヴンス夫人が滞在中だった。彼女の有名な宝石を狙って、にせ”猫”は必ず姿を現すに違いない─かくして、アメリカ人観光客に変装したロビーは、日増しに厳しくなる警察の追求の眼を逃れ、真夏のカンヌに乗り込んだ!
華やかな高級リゾート地カンヌに展開される息詰まる追跡劇。ヒッチコック映画化の傑作サスペンス。 |