出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
1259 |
ロバート・オズボーンが失踪したのは三ヵ月前だった。太陽を追って移動する、メキシコ人労働者の群でオズボーンの農場も賑わっていた頃、暑さがまだ衰えず、乾ききった川が不気味な河床をさらしていた、十月十三日の夜、二十四歳の若い農園主ロバートは突然姿を消した……。
ロバートの妻デヴォンをはじめ、誰もが彼の死を覚悟していた。その日の彼は、変わった様子もなく、姿が見えなかった愛犬を探してくる、と気軽に出かけたまま帰らなかったのだ。デヴォンが呼んだ警官は食堂で夥しい量の血痕を見つけた。おまけに、次の日の朝にはトマトの収穫のために雇った十人のメキシコ人労働者がいなくなっていた。彼らが、金目当てにロバートを殺したに違いない。捜査もほとんどが死体探しに費やされていた。デヴォンにとっても、死体が見つからないまま九十日経った今となっては、死亡認定の訴訟を起こしてすべての決着をつけるつもりになっていた。ロバートの死が正式に確認されるのは時間の問題だった。しかし、ロバートの老いた母アグネスは、ただ一人、息子の死を絶対に認めようとしなかった……。
単純な殺人の底に隠された恐るべき事件の全体像。心理的サスペンスの第一人者ミラー、久々の登場! アメリカ探偵作家クラブ賞候補作。 |