出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
492 |
白鳥の湖邸と呼ばれる富豪サー・リチャードの豪勢な邸では、亡妻セラフィタを記念してのハウスパーティが例年通り開かれようとして、親族の者が続々と集まってきていた。医者をやっている孫のフィリップ・マーチ夫婦は一人娘を連れてくるし、腹違いの孫娘で新聞記者をしているクレアも、サー・リチャードの顧問弁護士ガードと恋仲の孫娘ピータもやって来た。表面はいかにも和気藹々の家族懇親会だが、どこか不気味な暗流が、最初から底を流れていたのだ……。
そして一夜明けた朝、白鳥の湖邸の離れ家で、老卿はものいわぬ骸となって発見された。普段から弱かった心臓にアドレナリンによるショックを与えられたのだった。へロンズフォード署の老練警部─ケントの鬼といわれ、この一族とは個人的に何十年来の付き合いのあるコックリル警部が招かれ、捜査を開始したが、事件は以外に手ごわかった。その日屋敷にいた人々の全てが、大なり小なりの動機を持っていた。妾から直った正妻のベラは遺産の配分に不満だったし、自称”精神異常者”の末孫をはじめ、孫たちもそれぞれ離婚問題や恋愛問題など、様々な厄介ごとを抱えていたのだ……。 イギリス女流第一人者のブランドが、お馴染の状況設定のうちに得意のウィットと皮肉を縦横に駆使して展開する、ユーモアあふれる本格ミステリ。 |