切られた首 タイトル

切られた首

原題

Heads You Lose

発表年

1941

著者/訳者

クリスチアナ・ブランド/三戸森毅

カバーデザイン

上泉秀俊

ページ数

214
作品レビュー

あらすじ(解説文)

出版

早川書房
ハヤカワポケットミステリ515
イングランド南部に多いダウンズ(丘原)のひとつに、ピジョンスフォード山荘と呼ばれる、大地主ペンドックの邸があった。この邸に毎日かよって、テラスから見える教会の塔の雪景色を描いていた、三十八才の素人画家グレイスは、今日もスケッチが一段落するとペンドック一家の団欒に加わった。折しも、五十才の今も独身をつづけている当主のペンドックが秘かに愛していた親しい友人の娘フランセスカのもとへ、註文してあった帽子が届いた。ロンドンの一流店に特別註文した最新流行の帽子で、フランセスカは大はしゃぎだったが、ひとりグレイスだけが、そのとっぴなデザインに呆れ、フランセスカの趣味の悪さを攻撃した。「そんなものをかぶって、溝にはまって野たれ死しているところなぞ見られたくないものだわ」 このつまらない小事件が、恐ろしい殺人事件に発展しようと、誰が想像しよう。だがその夜グレイスは、邸の広い庭園の片隅で、何者かに首をかき切られた無残な死体となって溝にはまっていた。しかもその首は、あの奇抜な帽子をかぶっていたのだ!
トーリントン警察にその人ありといわれた名警部コックリルは、ペンドックの要請により現場へ急行した。が、事件の奇怪さは際限なく発展するばかりだった。 残忍さのなかに英国流の洒落たユーモアとサスペンスが一体となって漂う、コックリル警部初登場の佳篇。

初版

1959年(160円)

重版

1984年再版(650円)

入手

amazon

ISBN

4-15-000515-X

【感想】★★★

 ブランド女史の第2作でコックリル警部初登場のこの作品ですが、私はこの作品が女史の作品の中で最初に読んだ作品となりました。感想を簡潔に述べるとするならば、本格小説としてプロット・謎解き部分は充分合格点だと思いますし、楽しめるとは思いますが、ただ話の展開の仕方がもう少し違った方法はなかったのかなと少し残念な部分もありました。その辺りが少し評価にも影響しています。

 犯人当ての伏線については完全にしてやられました(苦笑)。あんな所にあったのかと感心・脱帽せざるを得なかったです。解決編も聞いて成る程と納得できました。女史の得意技であるラストのどんでん返しもたくさんあって読み応えは充分あると思います。

 ただ、不満足な点もいくつかありました。まず、とにかくラスト8割になってようやく物語が真相に向かって一気に盛り上っていくのですが、それまでが少し長するというか話として起伏がなく平坦すぎますね。
 どんでん返しも最後の部分に一気に畳み掛けるようになされるのですが、これを中盤あたりからもっといろいろ読者がまさかこの人間が犯人なのでは…と考える余裕のあるくらいのテンポでしていたらもっと面白かったと思います。あまりにもラストに一気になされるので、一つ一つをよく理解して話を読み進めていくことができませんでした。私に読解力がないのかもしれませんが(苦笑)。どうもその8割に行くまでがあまりに平坦でハラハラする部分も少なく、実は何度も止まってしまいました。このあたりのバランスがもう少し上手く取られていたら評価も変わったでしょう。

 またこの作品ではコックリル警部初登場ですが、正直人物像はあまり印象に残らなかったです。女史の代表作に挙げられる作品ではないのでまあこれくらいなのかなとは思います。コックリル警部の人間像も含めて次以降に控える代表作に期待したい所です。