出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
1240 |
依頼人はどうしても名前を明かそうとしなかった。二十代の女で、ブロンドの髪が美しい─ある男に追われているので姿を消すが、自分と両親の連絡役になってもらいたい。そして、もし将来なんらかの罪で訴えられた時には弁護を引き受けて欲しい、といってきたのだ。雲をつかむような話だった。おまけに、交換手ガーティお得意の盗み見によれば、女の旅行ケースのなかには手の切れそうな百ドル紙幣の束が詰まっているという。何かありそうだ。引き受けてみるのも面白いかもしれない……。
連絡用のコード・ナンバーを残して女が去った翌日、またまたガーティが、そのコード・ナンバーを使った新聞広告を見つけてきた。〈話合いに応ず。現金の用意あり……〉女は誰かに金を支払うために、ロサンゼルスで出てきたらしい。どうも、恐喝事件の匂いがする。何の弱味を握られているのだろうか? どうやって金を用意したのか? 恐喝者の正体は? そしてなぜ、メイスンに嘘をつかなければならないのか? メイスンの鋭い頭脳は回転しはじめた。女は危険な立場が分かっていないようだ。そろそろ自分が動き出す頃合いだ……。が、事件は思いもよらぬ殺人へと……!
嘘で固めた依頼人に振り回されるメイスン─ガードナーの死の直前に発表された、シリーズの佳作! |