出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
826 |
住民はみんな裕福で、陽気で、若い女は美人ぞろいときているのだから、タップワース・マグナ村は平和な村だ。だが、ニコラスとべズルの二人が、突然、引っ越してきてからは村の事情もちょっと変わってきた。中でも貧相な男べズルのやることなすことは、まさに奇妙キテレツで、村の平和を著しく乱しはじめたのだ。揚句の果てには、人のいい後家さんから借金してふみ倒すという始末。アタマにきた村のお偉方達は、意を決してべズルを訴え、見事54ポンドの罰金を食らわせてやった……。
一方べズルは、ドロボーに入られて貴重品や何やらみんな盗まれてしまったから罰金を払うどころじゃない、と裁判所に申し立てた。が、村の連中も黙ってはいない─べズルは罰金惜しさにドロボー事件をでっち上げた大嘘つきだ、とののしった。だが、べズルは自分の持物を相棒のニコラスに運び去らせていたのだから、これこそ彼の思うつぼだった。やがて、盗難事件は本ものとなりべズルは、1万ポンドの大金をまんまとせしめてしまった!
あの手この手の秘術をつくる詐欺師の行状記を、ヘンリイ・セシル得意の裁判場面を盛り込みながら描いた異色ユーモアの白眉! |