出版 |
早川書房
ハヤカワポケットミステリ
1404 |
女教師エリアンヌ・シャトリエの車が駐車場に入るのを見て、リュシアンとエルヴェは手早くストッキングの覆面をかぶった。彼女が車を降りたときがチャンスだ。手はずどおり、腕力の強いエルヴェが抗う彼女に袋を被せ、自分たちの車に引き込む。リュシアンがドアを閉め、運転席に飛び込んだエルヴェに合図を送る。車は滑るように走り出した。計画の第一段階は、あっけないくらい簡単に終わった。だが、こうなったらもう後へはひけない!
誘拐の計画を言い出したのは、エルヴェだった。なぜか彼らを目の敵にする若い担任教師エリアンヌをちょっと懲らしめてやろう。二、三日、エルヴェの父が持っている山小屋に閉じ込めて、怖い思いをさせてやる。こちらの正体を知られず、無事に釈放してやれば、警察沙汰になることもないはずだ……。リュシアンもいつしかその計画の危険な魅力に惹きつけられていた。
二人はエリアンヌを小屋に押し込み、毎日食料を運び込む手はずを決めた。だがあくる日、思いがけぬ交通事故でエルヴェが重傷を負い、二人の計画はまったく違った方向へと走り出していった! フランス・サスペンスの芳醇な香りが溢れる、巨匠コンビの会心作。 |